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アノザール語について 3.名詞の語形変化

dūro!

語形変化

前回お話ししたように、アノザール語の名詞・代名詞は 7 つの語形を有し、時や場合、用法によってそれらを使い分けます。

  1. 主形 - 主語(特に動作主)となる場合に基本的に用いられます。
  2. 受身形 - 主語が動作・作用等を受ける対象となる場合に用いられます。
  3. 所有形 - 所有・所属を表すときに用いられます。
  4. 被属形 - 被所有・被所属を表すときに用いられます。
  5. 目的形 - 目的語となる場合に用いられます。
  6. 謙譲形 - へりくだるときに用いられます。
  7. 尊敬形 - 立てるときに用いられます。

主形、所有形、目的形の細かい説明は正直不要かと思います。なので、残りの受身形・被属形・謙譲形・尊敬形について、短文も併せて細かく見ていきましょう。

受身形

アノザール語においては、受身形を主語として用いることで受動態を示します。英語では 〈was/were + 過去分詞〉 などの形で、日本語では 〈AはBされる〉 などの形で表されるものです。

val noela bopp.
和訳: 彼はいたずらされる。
val - 彼(受身形) noela - noelの三人称単数形 bopp - いたずら

主語が受身形であることを除けば、他の文と同じようにして構築されます。

被属形

一見所有形と大差ないように思えますが、こちらは所有されている・所属させられているという関係を表す際に用いられます。これについては例文を見てもらった方が早いでしょう;

kes lopas lan tarou.
和訳: 私の主人はタロウです。
kes - 私(被属形) lopas - 主人(主格)

kis と lopas が所有・所属の関係にあります。この場合、 lopas のほうが明確に立場が上であるため、 lopas に kis が所有されている・所属させられていると考えます。よって語形変化によって被属形となるわけです。
ただし、立場が明確でない場合、被属形と所有形のどちらを用いるかは人にもよるでしょう。学校、家族、会社など、そのようなものに対して「所属している」と考えるか、「所属させられている」と考えるかは人それぞれです。

謙譲形・尊敬形

謙譲形について、「へりくだる」とは言いましたが、ある程度しっかり言葉にすると、「一方を下げることによって相対的にもう一方を上げる」ということになります。この語形は自身などを下げることにより敬意や謙遜などを表すためのものとなります。

kæs/kaesta lon vol zopas.
和訳: わたくしめは彼の従者にございます。
kæs/kaesta - 私(謙譲形) zopas - 従者

一方、尊敬形は相手を上げることによって直接敬意を示すために使われます。一人称においてこれが使われることは滅多にありません。使うこともできますが、ほとんどの場合、傲慢な人と思われるでしょう。

sois/soista lon kes lopas.
和訳: あなた様は私の主人です。
sois/soista - 貴方(尊敬形)

変化表

ここまで文章を読んでくださった方の中には、何となく語形変化の法則性を見出した方もいることでしょう。ともあれ、以下に一部の変化表を記します;

受身 所有 被属 目的 謙譲 尊敬
一人称(基本) kis kas kos kes kus kæs/kaesta kois/koista
二人称(基本) sis sas sos ses sus sæs/saesta sois/soista
三人称(男性) vil val vol vel vul væl/vaelta voil/voilta
三人称(女性) fil fal fol fel ful fæl/faelta foil/foilta
名詞(最後が子音) - -a -o -e (-u) -æ/-aelta -io/-iolta
名詞(最後が母音) - -sa -so -se (-su) -sæ/-saelta -sio/-siolta

謙譲形・尊敬形が二つの単語に分かれているのは、前者が現代的で比較的柔らかい言い方、後者が古風かつフォーマルな言い方となるためです。

文章においては、名詞の語形変化であることを明示するために、ハイフンをはさんで接尾辞を配置します。つまり、 ñao の受身形であれば ñao-sa , yan の被属形であれば yan-e のように書きます。

名詞が尊敬形と受身形を両方もつ場合など、その名詞に複数の語形の意味を持たせる必要がある場合、敬意の表現となる尊敬形・謙譲形に変化させた後に、受身形などを追加して書きます。具体的には、 ñao-siolta-sa や kaesta-sa のようになります。

あとがき

正直、書いている間まだいろいろと詳細を詰めて書けそうだと感じました。しかし時制や動詞の活用変化、前置詞など、他にも語るべきことのほうが多いです。名詞の語形変化については一先ず区切りをつけて、詳細をさらに詰めたりするのはまたの機会にしようと思います。

人工言語初心者なので、創作性抜きに明らかに誤りな要素等がございましたら、指摘していただければ幸いです。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。

Latest comments (4)

たたむ
 
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夕向奏

受身は基本的に態として存在するので、あんまり格ではないかもしれません(そもそも受動態がない言語もあるが)

謙譲と尊敬は呼格(呼びかけに使う)があるので、格と呼べなくもないかな、と思います。

なので、格変化というより日本語の未然形、連用形のような動詞変化のようなものに近いかもしれません。〜形という言い方が一般的かもしれないです。

長文失礼致しました。

たたむ
 
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oda_keeent

いえいえ、浅学の身故にこのような助言は非常に助かります。
「主格・所有格・被属格・目的格の4つの格変化と、受身形・謙譲形・尊敬形の3つの語形変化を持つ」と後日変更しようと思います。

たたむ
 
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夕向奏

自分も浅学なのでなんとも言えないのですが、この場合一応「本来動詞で表される受動態が名詞で表されている(それ自体にはとてもオリジナリティがあります、少なくとも人工言語では見たことないです)」ことになるのではないか、と思いましてコメントしました。

あと全部まとめて〜形にしてしまえば変えるコストも少ないですしすっきりするかな? と思います。

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oda_keeent

実際、英語などとの差別化を図るために受動態を名詞・代名詞の語形変化のみで表すことを試みていました。オリジナリティがあると言っていただけて幸いです!
おっしゃられたように全部「〜形」としたほうが確かに変更コストも少ないので、そのようにいたしました。