coi rodo mi'e .slaimsan.
どーもスライムさんです。4月末辺りから仕事が炎上気味でバタバタしており、人工言語に関われず、悲しい日々が続いております。なので、来月に第8回コンペが始めるというのに、前回のまとめができていない状態です……通勤の隙間でちょっとずつ書いて何とか間に合わせますね……
1. お題
その言語を学習した人たちは口を揃えてこう言います。
「あんな言語はもう二度と学習したくない!」
さて、どんな言語でしょうか? あなたの思うように作り、解説してください。
解説の際は、例文を3つ以上使用してください。
お題を頂いた時に、なるほどなぁと感心してました。学習したくない理由を色々考えることができ、言語の個性に上手く反映できると楽しいだろうなと。後、学習者の視点から見たお題というのも今まで無かったタイプでした。
ふぃるきしゃさん、良いお題ありがとうございました。
2. 提出作品一覧
シラミィさんのノボエル語
スライムさんのテセン語
ななみさんの物質語
AmeAgari 風斗さんのKilaat語
epikijetesantakalu Ketaさんのtxẍẋrkʬkxʒẋkxʒẋkẍ語
RhemestryさんのbOlLrcR語
さなすのさんのトレア・カ語
rain=sailen [rɛn sɛlin] さんのレンピ語
8作品にご参加いただきました。本当にありがとうございました。
3. 講評
ここからは各作品についてそれぞれコメントさせていただきます。
3-1. ノボエル語
母音無しの言語ということで、発音のし辛さで学習意欲を削ぐ方針の言語ですね。母音は音素の潤滑油なので、これが無いのは大分発音し辛くなることが予想されます。解説の中に繰り返し登場する「さぁ、発音してみよう!!」は、まさに発音の難しさを強調していて面白かったです。
同様の方針の言語として、私は「ムボイン語」というのを検討したことがあります。この言語では母音が無いながらも発音しやすくなるように工夫をするという方針で、母音が無くても単独で発音可能な鼻音と摩擦音を多くするようにしていました。ノボエル語には鼻音が無いので、これは大分発音が難しいなぁと思いました。シラミィさんはここまで計算して音素を選んだのですかね?
3-2. テセン語
自分の作品なので講評が意味を為さないですね……解説はこちらに書いておきましたので、説明はそちらに任せます。
1バージョン毎の学びやすさは大したことないのですが、頻繁に変更が入ると学びたくなくなりませんかね、という意図で作った言語でした。大方針がブレていなければ些末な変更は受け入れやすいのですが、方針がブレブレだと変更は辛いなというのが個人的な思いです。方針が大きく変わるときは、別言語とするのが良いかなと思います。
3-3. 物質語
様々な化学物質によって文を表す物質語。でも、危険な物質もあり得るため命がヤバい、ということで学習意欲を削ぐ方針の言語でした。皆さん、学習性に難有りや、運用性に難有りという方針がほとんどの中、生命の危険という方針を取ったのは物質語だけでした。私もここまでの案は思い付かなかったです。
しかしこの言語、表したい文書に対応する元素が無い場合発話できないんですね……発話のためにレアな元素の取り合いとか起きてしまうんですかね。そこも含めて学びたくない言語ということにしましょう。
3-4. Kilaat語
色んな面で複雑な仕様を組み込んで学習意欲を削ぐ方針の言語ですね。一つひとつ見ていきましょう。
まずは楔形文字。これは慣れの問題なので頑張るしかない。しかしここで立ちはだかるのが装飾文字という発音しないが表記はするという文字の存在。音を表す文字より種類が多い。
次は発話が楽器。コードが音素に対応。おーん。音感がないと操れないやつです。
文体が3種類あるというのは、一瞬驚いたのですが、よく考えたらどの言語でも文体に類似するものはあるし、初学者向けの本では統一してどれかの文体だけに限定して学習するというのができそうだなと思い、ここは何とかなりそうと思いました。
文法事項は比較的落ち着いてて、最後に数詞の話。偶数桁と奇数桁で使う文字が変わる。ほう……なんだかよく分からないが、これは面倒そうだ……
3-5. txẍẋrkʬkxʒẋkxʒẋkẍ語
もう字面の時点で心を折に来てますね……
音素はロジカルだけど、これらを全部区別するんかぁ……表記も辛……この時点で学習意欲が限りなく0になっています。
文法は主格に対格……ふむふむ普通だ……ん? 冷蔵庫格? 噴火格? ネタ格きたぁ。そして格標識が声調だけど、これらの区別はやっぱり難しい……名詞の性の冷蔵庫ってなんやねん。
動詞の時制ならぬ時空制、これ計算してる間に時間が変わってしまって、言及したい時空からズレてきたりしませんかね。後は本に記載したりする時の時空もズレそう。なかなか謎の多い言語です。
3-6. bOlLrcR語
今回の優勝作品です。また字面が読めないシリーズです。この言語は目の動きによって意思疎通をする言語です。モユネ分類で言うところのKINに属するもので、なかなか無いタイプの言語ですね。目の動きで意思疎通というのは、隠れて情報のやり取りをする時に使われるイメージで、麻雀漫画で「通し」をする時にやってる描写があったりします。今回はそれを言語として実装したものになります。
さて、言語の仕様ですが……初手から右眼と左眼を別々に動かす必要があって無理となります……これはキツイ。この時点で学習意欲は0です。
文法は注目すべきところがあって、相に緊急、警告、不急があるのが新しいです。汎用的な言語ではあまり使い所はなさそうですが、特定用途の言語、例えば監視などをしているコンピュータからのメッセージを記述する言語の仕様として、このような相を定義しておくのは有効な感じがします。
3-7. トレア・カ語
5人同時発声によって意味を表す言語です。儀式用なので合唱みたいなイメージでしょうか。複数人で発声するという案は、ヒュムノスのバイナスフィアにも有り、こちらも儀式用の言語です。やはりこのタイプは、一人では使えないので儀式用途しかなさそうですね。
音素の中で声調の区別は無いようなので、合唱曲として作ったら普通に使えそうな感じもあります。今回の作品群の中では、断トツで「学びたい」と思える作品です。いや、でも変換ルールを得るのが難しいか……作るなら、インスパイアされた別言語ですね。
3-8. レンピ語
言語によくある面倒な仕様全部載せみたいな言語です。ただ難点が多過ぎて、ポイントがぼやけてしまったかなという印象です。個人的には、私と同じ方針の「第1位: 語彙/文法の変移が早い」あたりを軸に作るとまとまりが良くなったのでは無いかなと思いました。
例えば2世代前の言語では綴りが長くて、1世代前ではこの点に手が入って短くなったけど、同音異義語の区別が難しいため現世代では元の古い綴りに戻っている、みたいな設定にすると変化の激しさと綴り字の面倒さを上手く並走できたのではないかなと思います。
4. おわりに
久しぶりに本開催ができて良かったです。新しいプラットフォームを利用するのも上手くいきまして、継続的な開催もやりやすくなりました。(2月、5月、8月、11月の年4回開催の予定です。)
というわけで次回の人工言語コンペは8月初頭にお題発表予定です。ご興味ある方はDiscordサーバーまでお越し下さい。作品の投稿、投票が行えます。
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