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Ziphineko / Ziphil 🐱🐰
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フェンナ語入門 IV — 動詞の活用

第 4 回は動詞の活用を学びます。動詞が出てくると表現の幅が広がりますね。

活用の種類

フェンナ語の動詞は、主語の人称と性によって形が変化します。これを「活用」といいます。主語が三人称の場合は、それが定か不定かをさらに区別します。また、フェンナ語では基本的に数の区別がないのですが、一人称についてのみ、単数の「私」と複数の「私たち」を区別します。

つまり、フェンナ語では以下の 5 種類を人称として区別することになります。

  • 三人称・定 —「(相手が知っている) それ, それら, その人, その人たち」
  • 三人称・不定 —「(相手がまだ知らない) それ, それら, その人, その人たち」
  • 二人称 —「あなた, あなたたち」
  • 一人称複数 —「私たち」
  • 一人称単数 —「私」

前々回で触れたように、性は赤性と青性の 2 種類ですね。つまり、合計で 5 人称 × 2 性 = 10 種類の活用形を覚えないといけないことになります。

活用接辞

動詞の活用は、まず基本となる形に接頭辞を付けることで行います。接頭辞は以下の通りです。

赤性 青性
三人称・定 なし なし
三人称・不定 а- а-
二人称 се- со-
一人称複数 баме- бамо-
一人称単数 и- и-

これに加えてさらに、主語が青性の場合は語末に -о を付けます。形容詞と同じですね。

三人称・定・赤性の形には接頭辞も接尾辞も付かないことに気づいたでしょうか。このため、三人称・定・赤性の形が動詞の基本形になります。辞書の見出し語もこの形です。

実際の活用

では、実際の活用形を見てみましょう。ここで問題なのが、だいたいの動詞は接頭辞や接尾辞を付ける際にちょっとした変化が起きてしまうという点です。ただ接辞を付ければ良いというわけにはいきません。

まず、〈単子音 + а + 重子音〉で始まる動詞の活用です。注意しなければいけないのが一人称複数形で、付けられる接頭辞は本来 баме-/бамо- のはずですが、この場合は最後の母音が消えて бам- になります。例えば、баззо̄ц「苦労する」の活用は以下のようになります。

баззо̄ц「苦労する」
赤性 青性
三人称・定 баззо̄ц баззо̄цо
三人称・不定 абаззо̄ц абаззо̄цо
二人称 себаззо̄ц собаззо̄цо
一人称複数 бамбаззо̄ц бамбаззо̄цо
一人称単数 ибаззо̄ц ибаззо̄цо

次は、〈単子音 + а + 単子音〉で始まる動詞です。この形の動詞は、接頭辞が付く場合、つまり三人称・定ではない活用形において、а が消えます。このパターンの動詞はかなり多いので、気をつけるようにしましょう。

хало̄ф「飛ぶ」
赤性 青性
三人称・定 хало̄ф хало̄фо
三人称・不定 ахло̄ф ахло̄фо
二人称 сехло̄ф сохло̄фо
一人称複数 бамехло̄ф бамохло̄фо
一人称単数 ихло̄ф ихло̄фо

このパターンの動詞には、さらに基本形が е で終わるものがあります。基本形に含まれる а が消えるのに加えて、青性のときに語末に -о を付ける際に基本形の最後の е も消えます。この現象は、形容詞の変化のときもありましたね。

бажо̄мме「温める」
赤性 青性
三人称・定 бажо̄мме бажо̄ммо
三人称・不定 абжо̄мме абжо̄ммо
二人称 себжо̄мме собжо̄ммо
一人称複数 бамебжо̄мме бамобжо̄ммо
一人称単数 ибжо̄мме ибжо̄ммо

語順

フェンナ語の語順は少し複雑で、主語の定性によって変わります。

文の主語が定の場合は、その主語が動詞の前に置かれ、動詞は 2 番目の要素となります。一方で、文の主語が不定の場合は、動詞が先頭に置かれます。

Лочӣҕҕасо баззо̄цо.
لچيغّس بزّوڅ.‏
🞂 その教師は苦労している。
баззо̄ц「苦労する」

Ахло̄ф хо̄лаф.
اخلوف خولف.‏
🞂 鳥が飛んでいる。
хало̄ф「飛ぶ」 · хо̄лаф「鳥」

ただし、主語が一人称や二人称の場合、主語が誰なのかは動詞の活用で分かるので、主語をわざわざ名詞で明示することはしません。この場合は、主語である一人称や二人称は (聞き手にとってそれが誰なのか明確なので) 定ではありますが、動詞が先頭になります。

Ипне̄тте.
يپنيطّ.‏
🞂 私は満足している。
пане̄тте「満足する」

また、主語が三人称かつ定の場合でも、主語が何なのか文脈から分かる場合は、主語が省略されます。この場合は、「彼は~」や「それは~」などと訳すと良いでしょう。

Шало̄х.
شلوخ.‏
🞂 それは光っている。
шало̄х「光る」

動詞の意味

フェンナ語は、動作全体をひとまとめに見なした「~する」と、動作の途中であることを明示する「~している」をあまり区別しません。

そのため、例えば上の ахло̄ф хо̄лаф という文は、ахло̄ф が飛んでいる最中を表していると考えて「鳥が飛んでいる」とも訳せますし、飛ぶという動作をただ表していると考えて「鳥は飛ぶ (ものだ)」とも訳せます。どちらになるかは文脈によります1


  1. だからといって「~する」なのか「~している」なのかを区別できないわけではありません。この 2 つを区別する表現もあります。ただし、だいたいの場合どちらなのかは文脈から分かるので、区別のための表現をわざわざ使うことは少ないです。 

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