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格や接置詞の為の例文集 ニョンペルミュ訳

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 hjulimis (こんにちは)! ふぃるきしゃです。今回は矛盾と混沌氏作の例文集をニョンペルミュに訳しました。ユニークな文が多くて訳し甲斐がありそうですね! それでは早速見ていきましょう。


格や接置詞の為の例文集


1:太陽神が歩く。

tishafo lju.
太陽神-歩く

2:私は虹を見なかった。

la me li halhatjus.
私-ない-見る-虹

 ニョンペルミュの基本語順はSVOで、単語に格変化などの屈折はありません。従って、主語と直接目的語は語順によって示されます。


3:私はあなたに会うだろう。

la pen hjuli fi.
私-だろう-会う-あなた

 ニョンペルミュの直接目的語は、日本語ではニ格で表されるものも含みます。「~に行く」や「~に変わる」のような動作・変化の着点も、ニョンペルミュでは直接目的語で表される場合があります。


4:魂を持つ物体を霊に差し上げた。

la pa hjusfo le fonjo sjami tu.
私-に-霊-与える-魂-を持った-もの

 二重他動詞の間接目的語は、前置詞 pa で表すことが多いです。ニョンペルミュでは前置詞句は動詞の前に置くのがポイントです。pa は動詞としては「着く」の意味を持ち、動作の着点を表す前置詞として転用されています。


5:ナイフで被り物を切り裂いた。

la ki sitol si minhjo.
私-で-ナイフ-切る-マスク

 手段は前置詞 ki で表します。ki は動詞としては「使う」の意味です。


6:猫よ!

fasnja!

 呼びかけに特別な形式は用いません。


7:泥棒は私の主人から金銭を奪ってしまった。

nonpuntjun fe la mi tanpuntjun lefe kol.
泥棒-から-私-の-主人-奪う-お金

 lefe「奪う」のような動詞の間接目的語は、前置詞 fe で表されます。fe は動詞としては「去る・離れる」の意味で、動作の起点を表す前置詞として転用されています。
 ちなみに lefe の fe と前置詞 fe は同一の形態素です。le「与える」ことから fe「離れる」ので lefe「奪う」というわけですね。このように fe は接尾辞として、「元の動作と逆方向の動作」を表す動詞を作るのにも用いられます。


8:愛と金と、両方ガラクタである。

mjusmis sas kol mi sis na pjo.
愛-と-お金-の-両方-である-ゴミ

 原文のアクァルヅァルゴ語では格変化で並列を表していますが、ニョンペルミュでは接続詞 sas で表します。


9:店長によって客たちが追い出された。

hetjun fe millantas kju tespon.
客-によって-店長-される-追い出す

 受身は助動詞 kju によって表され、受身文における行為者は前置詞 fe によって表されます。kju は動詞としては本来「得る」の意味です。「~から…を得る」という表現を「~によって…される」という受身の意味に拡張して用いているのです。


10:我々は食事のために生きているのだと思う。

lamjenas, lafi mu kjamis kus.
私が思うに-私たち-のために-食事-生きる

 目標や受益者は、前置詞 mu で表されます。mu は動詞としては「向かう」の意味です。
 ちなみに副詞 lamjenas「私が思うに」はかなり頻繁に用いられます。日本語で「私は~と思う」と言うところで lamjenas を積極的に使うとネイティブらしさ(?)がグッと上がります。


11:殴打より濡れタオルが効果的だ。

lumel palfemen fe kjomolkamis na foltimel.
湿った-タオル-より-殴打-である-効果的な

 前置詞 fe は比較対象を表すのにも用いられます。ニョンペルミュの前置詞句は形容詞を直接修飾できないので、動詞 na「~である」の前に置いて、na の目的語である形容詞 foltimel「効果的な」を間接的に修飾します。


12:私の車が壊れた。

la mi njenhel tju tanfe.
私-の-車-既にした-故障する

13:あなたの目の中にネギを入れよう。

la pen pa fi mi nja fussale holpjussjol.
私-しよう-に-あなた-の-目-入れる-ネギ

 所有・関連を表す後置詞 mi は、譲渡の可否などを区別しません。ほぼ日本語の「の」と同じ感覚で用いることができます。


14:私には携帯がある。

la sja kjotol.
私-ある-携帯

 存在文でよく使われる動詞には su と sja があります。su は「SはOにある」のように存在物を主語に、場所を直接目的語にとります。一方で sja は「SにはOがある」というように、場所を主語に、存在物を直接目的語にとります。sja は本来は「持っている」の意味で、英語の have のような語義の拡張を行っています。


15:何度も横転した後彼には顔が無くなった。

selon sjantjon tusfe po kosas kjufe min.
彼-何度も-転ぶ-横-後に-失う-顔

 「彼には顔が無くなった」は「彼は顔を失った」と訳出しています。
 kosas は並列の接続詞の一種です。並列された後ろの内容が、前の内容より未来に起こることを表します。主に複数の動作の主語が同じである際、時系列順に動詞句を並べるのに用いられます。


16:これは私の作品です。

ketu na la mi tomju.
これ-である-私-の-作品


17:白い鳥であり天使である乗り物があった。

hol fal nami sas haltjun nami satol su.
白い-鳥-である-かつ-天使-である-乗り物-ある

 同格は後置詞 nami で表します。これはコピュラ動詞の na に後置詞 mi を合成したものです。このように、名詞や動詞の末尾に後置詞 mi を付加して作られた派生的な後置詞がたくさんあります。


18:王として地上を支配するであろう。

fi ljo na musha tasti mus.
あなた-だろう-として-王-支配する-地上

 コピュラの na は、状態や役割を表す前置詞としても用いられます。


19:水の代わりに酒を飲んでいる。

setjun pa lu kotusle sas kja hjalu.
その人-に-水-代用する-かつ-飲む-酒

 ニョンペルミュには現状「~の代わりに」を表す前置詞がありません。そのため、kotusle「~を…の代わりにする」と kja「飲む」を並列し、「酒を水の代わりにして飲む」という訳出にしています。


20:悪魔のように笑っていた。

setjun kalkon hjonkusfo meska.
彼-のように-悪魔-笑う

 前置詞 kalkon「~のように」は動詞としては「似ている」の意味を持ちます。


21:悪い大人になっちゃったね。

fi tju ku hjon meltjun, me ti?
あなた-既にした-なる-悪い-大人-ない-する

 動詞 ku「なる」は変化の着点を直接目的語にとります。


22:蛇口のような蛇に噛まれたの??

fi fe lulil kalkonmi kussil kju me kju sjesti??
あなた-によって-蛇口-のような-蛇-される-ない-される-蛇-噛む

 後置詞 kalkonmi「~のような」は動詞 kalkon に後置詞 mi を加えて作られた派生後置詞です。ちなみに、ニョンペルミュの諾否疑問文は中国語やトキポナでお馴染みの反復疑問文で表されます。


23:不況のもと職場から人が減っている。

ljasfe malkjufinmis, tjunsju su tanlan sul njonku.
が理由で-不況-人々-で-職場-している-減る

 前置詞 ljasfe は原因・理由を表します。動詞として「由来する」の意味も持ちます。語形成としては、ljas「元」と fe「~から」の合成です。


24:あなたにとってグリフィンはどのようなものか?

KILIFIN mu fi na nonas tu?
グリフィン-にとって-あなた-である-どのような-もの

 視点・判断者は前置詞 mu で表します。


25:週刊誌によるとそれは陰謀だ。

pjefe tishelfussjotjes, semis na nontofo.
によると-週刊誌-そのこと-である-陰謀

 前置詞 pjefe は伝聞の情報源を表します。pjefe は pje「耳」と fe「から」の合成です。


26:チョコレートでできた城を暖めよう。

lafi lo momelti ljannes femi tasmal.
私たち-しろ-暖める-チョコレート-でできた-城

 後置詞 femi は前置詞 fe と後置詞 mi の合成であり、「~からの」の意味です。動作の起点を表す意味から発展して、出身地や製造場所、材料などを表せます。
 lo は命令を表す助動詞です。主語を lafi (一人称複数包含)にすると、「~しましょう」という勧誘の意味を表せます。


27:抹茶だからおいしいだろう。

ketu na pjassjollu lussas ljo na nanlen.
これ-である-抹茶-だから-だろう-である-おいしい

 lussas は並列の接続詞の一種で、並列された前の内容が後の内容の原因であることを表します。主に複数の動作の主語が同じである際、動詞句を並べるのに用いられます。


28:今日は祭りに行きましょう。

lafi lo netis sa sjeljanmis.
私たち-しろ-今日-行く-祭り

 netis「今日」のように時間・時期を表す名詞は、そのまま副詞として動詞の前に置かれます。


29:それはローマ帝国時代以前には無かった。

setu famu LOMAmushasjemus mi telkel me su.
それ-以前に-ローマ帝国-の-時代-ない-ある

 前置詞 famu は、「~より前に・~以前に」を表します。


30:今この瞬間より後これは国有とする。
lasju mjos sjemus kofe ke pjastel sja ketu te.
私たち-決める-国-以後に-この-瞬間-持っている-これ-(補文標識)

 前置詞 kofe は、「~より後に・~以後に」を表します。文全体を直訳すると「この瞬間以後に国がこれを所有することを私たちは決める」となります。


31:春と共に花粉症が私を襲う。

taljeskel he pjastel, sjolpjasnjes ka la.
春-来る-途端-花粉症-襲う-私

 原文のアクァルヅァルゴ語では「春」が「共起格」を取っていますが、ニョンペルミュに同様の前置詞等はないので、「春が来た途端に」と訳出しています。


32:布団から出ろ。

lo fe njosmen tessa.
しろ-から-布団-出る

 tessa「出る」が直接目的語にとるのは着点なので、起点を表す場合は前置詞 fe が必要です。ちなみに、tessa なしで lo fe njosmen. としても、fe を動詞と解釈して「布団から離れろ」という似たような意味を表せます。


33:敵陣に行った。

setjun sa lasmju mi tjemus.
その人-行く-敵-の-陣地


34:彼は映画館で逮捕された。

selon su taljelan kju kjofussa.
彼-で-映画館-される-捕まえる

 存在を表す動詞 su は、場所を表す前置詞としても用いられます。


35:海王星まで船で行ける。

fi so hasa naltol sa sintiskjo.
あなた-できる-で-船-行く-海王星

 原文のアクァルヅァルゴ語では「海王星」が「範囲格」をとり、行くことのできる範囲の限界を表しているようです。一方ニョンペルミュではそのような表現手段はないため、sintiskjo「海王星」は普通の着点と同じく動詞 sa の直接目的語になります。
 ニョンペルミュにおいてこの文で重要なのはむしろ「船で」の方です。ニョンペルミュで交通手段を表す場合、自動車や自転車のように自分で運転する乗り物には前置詞 ki を、電車やバスのように自分で運転しない乗り物には前置詞 hasa を用います。この文の場合何とも言えませんが、恐らく商用宇宙船に乗客として搭乗するのだろうと考え hasa としました。ちなみに hasa は動詞としては「乗る」の意味です。


36:橋の上で狂ったように踊りましょう。

lafi lo hasu hatjus fokjsjannas hjol.
私たち-しろ-の上で-橋-狂ったように-踊る

37:あなたの足の下に懐中時計がある。

fi mi tje pisja hjohosteltol.
あなた-の-足-の下には~がある-懐中時計

38:私の家の横に川があった。

la mi mal posja lutjus.
私-の-家-の横には~がある-川

 su「SはOにある」と sja「SにはOがある」は、方向を表す名詞と結びついて派生語を作ります。hasu は動詞として「SはOの上にある」または前置詞として「~の上で」を表します。pisja、posja は動詞としてそれぞれ「Sの下にはOがある」、「Sの横にはOがある」を表します。


39:的に向かってショットガンを撃った。

la ki njelsjentol sjenmu sjolimju.
私-で-ショットガン-撃つ-的

 原文のアクァルヅァルゴ語では「的」を向格で、「ショットガン」を対格で表しています。しかし、ニョンペルミュで「撃つ・投げる・放つ」を表す動詞である sjen と sjenmu は道具(銃など)を目的語に取ることができません。sjen は放たれる物体を直接目的語にとり、sjenmu は放たれた物体が届く場所(標的)を直接目的語にとります。
 ここでは sjolimju「的」を sjenmu の直接目的語で表し、「ショットガン」を前置詞 ki で表しています。したがって、直訳すると「私はショットガンで的を撃つ」となります。


40:道に沿ってかつて人間であった人形が並んでいる。

fatel na tjun tite konkal henpa tjus pu.
かつて-である-人-(関係詞)-人形-に沿って-道-並ぶ

 前置詞 henpa は「~に沿って」を表します。動詞として「沿う・辿る」の意味も持ちます。語形成としては、hen「端」と pa「着く・~に」の合成です。


41:あなたは怪異の前に立っていたのか?

fi tus me tus pjelsjas mi kan?
あなた-立つ-ない-立つ-怪物-の-前

 動詞 tus「立っている」は場所を直接目的語に取りますが、su や sja と違って方向を表す名詞との合成語は使えません (kan「前」との合成である kantus という語がありますが、これは「守る」という別の意味になってしまいます)。このような場合は日本語と同様、○○ mi kan「○○の前」を tus の直接目的語にします。


42:冷蔵庫の後ろに空間を作っておきなさい。

lo possu mofinkos to kostjel.
しろ-の後ろで-冷蔵庫-作る-空間


43:それはAIたちの間で流行っているのですか?

setu ti me ti muspalti mjetol?
それ-する-ない-する-流行る-AI

 動詞 muspalti「流行る」は、流行る場所やコミュニティを直接目的語にとります。ニョンペルミュにも monsu「~の間で」という前置詞がありますが、今回は必要ありません。


44:電車の中に人がいないんだけど…

pusatol fussja hjetjun...
電車-中には~がある-ゼロ人


45:駅の近くにその事故物件はあったのだ。

se nisukumal musu hasalan.
その-事故物件-近くにある-駅

46:ケモノの少年から離れたところでスポーツをしていた。

la fesu tjunmjas nami finlon hjalta.
私-離れて-ケモノ-である-少年-スポーツをする

 musu は「~の近くにある・~の近くで」、fesu は「~から遠くにある・~から離れて」を表す動詞または前置詞です。矛盾と混沌さんってやっぱりケモナーなんじゃ……


47:今私を魔法使いって呼びました?

fi netel ti me ti pa la sosle maljustjun?
あなた-今-する-ない-する-に-私-呼ぶ-魔法使い

 原文のアクァルヅァルゴ語では「魔法使い」が「名称格」を取っていますが、ニョンペルミュでは名称に特別な標識は必要ありません。maljustjun「魔法使い」はそのまま sosle「名付ける・呼ぶ」の直接目的語となります。


48:あなたは光なしでものを見ることができますか?

fi so me so meki fas li tu?
あなた-できる-ない-できる-なしで-光-見る-もの

 前置詞 meki は「~なしで」を表します。前置詞 ki「~を使って」に否定の接頭辞 me を付加した派生語です。


完走した感想

 というわけで、「格や接置詞の為の例文集」のニョンペルミュ訳でした。実際に訳してみると、接置詞ではなく動詞の主語や目的語で表す部分も多かったです。いろんな言語で比較してみると面白そうですね!
 あとこの例文集、見ての通り本当に独創的な文が多いですね。訳すにあたって結構な数の単語を作りました。語彙拡張の面でも役立つ例文集だと思います。
 それでは今回はこの辺で。hjufemis (またね)!

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