こんにちは、カワウソです。
今回は文構造について書いていこうと思います。なお、今回の記事に示した樹形図はすべてTreeFormを用いて作成しました。
目次
- 平叙文
- 否定文
- 疑問文
- 受動態
- 使役態
- 埋め込み節
- 名詞修飾節の場合
- 動詞の目的語の場合
- 空代名詞
- 定冠詞
Ülspeecでは名詞の屈折によって名詞の格が決定されます。文構造は以下に示すもの以外の形は認められず、これ以外は全て非文になります。
Ülspeecは基本的な文がSubject-Verb-Objectの形を取る言語です。
1. 平叙文
能動態では、単純にSubject-Verb-Objectの順に語を並べます。
sat=私、pümo=リンゴ、jer=食べる
として「私はリンゴを食べる。」という意味の例文を示すと
Satat jeritax pümota.
となります。数量詞が明示されない平叙文では、名詞の数量は1として扱います。統辞構造の樹形図は以下の通りです。
2. 否定文
否定文は、動詞の前にnolを挿入して表現します。
sat=私、pümo=リンゴ、jer=食べる
として「私はリンゴを食べない。」という意味の例文を示すと
Satat nol jeritax pümota.
となります。数量の扱いについては平叙文と同じです。統辞構造の樹形図は以下の通りです。
3. 疑問文
Ülspeecでは、主語と動詞を倒置してyes-no疑問文を表します。
nüq=あなた、pümo=リンゴ、jer=食べる
として「あなたはリンゴを食べますか?」という意味の例文を示すと
Jeritam nüqat pümota?
となります。(V-C移動:VをCPの指定部へ移動せよ)統辞構造の樹形図は以下の通りです。
wh疑問文については、文中の各要素を疑問詞に置き換えて表現します。英語のようなwh句についての移動はありません。
例えば、先ほどの
Jeritam nüqat pümota?
という文を「あなたは何を食べますか?」という意味の文に書き換えるには、pümotaを英語のwhatにあたる疑問詞loxを用いて
Jeritam nüqat loxata?
となります。
4.受動態
能動態でも語順はSubject-Verb-Objectのままですが、能動態と異なる点があります。
- 行為を受ける対象が主語の位置に現れる。
- 動作主を表現する場合、動詞の後に前置詞verte+動作主を置き、動作主には与格を用いる。
の2点が能動態とは異なる点です。
sat=私、pümo=リンゴ、jer=食べる
として「リンゴは私に食べられる。」という意味の例文を示すと
Pümot prijerital verte satap.
となります。統辞構造の樹形図は以下の通りです。
5.使役態
能動態でも語順はSubject-Verb-Objectのままですが、能動態と異なる点があります。
- 使役者が主語の位置に現れる。
- 動作主を表現する場合、動詞の後に前置詞vorte+動作主を置き、動作主には与格を用いる。
の2点が能動態とは異なる点です。
sat=私、pümo=リンゴ、jer=食べる、nüq=あなた
として「私はあなたにリンゴを食べさせる。」という意味の例文を示すと
Satat prejeritax pümota vorte nüqata.
となります。統辞構造の樹形図は以下の通りです。
6. 埋め込み節
Ülspeecで埋め込み節を表現するためには、補文標識krubiを用います。埋め込み節は名詞修飾節や動詞の直接目的語になることができます。
1. 名詞修飾節の場合
関係節が名詞修飾節になる場合、関係節は、動詞の直接目的語である名詞句の補部に現れます。
例えば、先ほどから用いてきた単語のほかに、
ngab=彼・彼女、trügrim=育てる
とすると、「私は彼/彼女が育てたリンゴを食べます。」という文は
Satat jeeritax pümota krubi ngabat trügrimitel.
となります。統辞構造の樹形図は以下の通りです。
2.動詞の直接目的語の場合
voktor(=考える)などの動詞の直接目的語として関係節が現れる場合、動詞句の補部に関係節が現れます。
例えば、先ほどから用いてきた単語のほかに、
glaq=行く、loyaj=図書館
とすると、「あなたは私が図書館に行ったと思っている。」(「思っている」は現在形)という文は
Nüqat voktoritam krubi satat glaqitex loyajak.
となります。(「行く」という動作の着点を示しているため、loyajは向格を用いています。)統辞構造の樹形図は以下の通りです。
7. 空代名詞
Ülspeecでは、疑問文への返答など、文脈によって意味が明らかな時に任意の名詞句が脱落することができます。
8. 定冠詞
文の中で既に言及されている名詞句や、世界にただ一つしかないものをはじめとする話し手と聞き手に共通認識がある名詞句を提示するときは、名詞句の前に定冠詞tireを付けて表現します。樹形図ではNPの指定部にtireが入ります。
人気順のコメント(0)