シャリヤ
エレーナ
シャリヤは一体どうしたのよ。ヴェフィス語入門がどうたらって言った挙げ句、黙りこくってるし、一体どうなってるわけ?
シャリヤ
エレーナ
シャリヤ
グガゴゴゴ……緊急事態システム起動……体内のヤツガザキニウムが不足しています。早急に補給を……ズガゴゴゴ……
エレーナ
シャリヤ
さてっ! 今日の講座もキラキラでやっていくわよ!!
エレーナ
エレーナ
シャリヤ
さて、今日は名詞のそれぞれの格の使い方について、一通りやってみるわよ!
エレーナ
指格
シャリヤ
Paifaias Vaifise an.
ヴェフィス語(Vaifise < Vaifise [NaiⅡ])で話す。
Fai Dyai.
私はデュイン (Dyai < Dyan [Fa])に住む。
シャリヤ
ヴェフィス人的には "fal" よりも狭いイメージがあるみたいね。
属格
シャリヤ
Faivan Vaifiseit
ヴェフィス人の(Vaifiseit < Vafise [NaiⅡ])言語(≒ヴェフィス語)
Faimiess faut
私の(faut < fa [fa])家族
エレーナ
あら? "Vaifiseit faivan" ではないのね?
シャリヤ
そう、リパライン語とは違って、ヴェフィス語は後置修飾の言語よ。形容詞も副詞も、
必ず 被修飾語の後ろに来るから気をつけてね。
エレーナ
リパライン語の感覚で書くと間違えそうね。注意しないと……
奪格
Kailes Dyeun.
私はデュインから(Dyeun < Dyan [Fa])来ました。
Fainsé Chaieteuné.
私はユエスレオネから(Chaieteuné < Chaiete [NaiⅠLé1 E-ailes)行きます。
エレーナ
なるほど、なるほど……確かに "ler" っぽいわね。
向格
Fainsé Dernel.
私はラネーメへ(Dernel < Derna [Fa])行く(≒アイル共和国 に行く)。
Raiders faigradel.
研究所まで(faigradel < faigrada [FaLs])私は同行する。
エレーナ
変化表を見ると l が多めで、リパライン語との親しさを感じるわね。
対格
Elfiaisé fainechékaile.
彼は百科事典を(fainechékaile < fainechékais [NaiⅠAs])読む。
Faché fainiaile an.
年上の兄弟を(fainiaile < fainies [JerⅡLs])敬うべし。
エレーナ
Faクラスを除けば、変化語尾は全部 -aile だから覚えやすいわね!
主格
エレーナ
ねえ、シャリヤ。辞書形とあんまり変わりない主格がなんでこんな順番で紹介されているの? 普通、一番簡単な形から紹介しない?
シャリヤ
た、確かに……でも、これは慣習的なことなのよ。ヴェフィス語伝統文法の格の並び順で紹介しないと
ヴェフィスの人たち が目くじらを立てるもの……
エレーナ
シャリヤ
まあ、そうとも言うわね……ちなみにヴェフィス人がどういう人達なのかは、
この記事 を読んでもらえば、分かりやすいと思うわ。
エレーナ
一応聞いておくけど、主格は行動の主体などを表す役割よね?
シャリヤ
その通り! クラスごとに変化の違いはないわ。辞書形そのままか、辞書形に -sé という語尾を付けて作るわ。
Voi failaisé var naisé fajue ats Fuji?
あなたは(naisé < nai)富士山に登ったことはありますか?
Qaissé Assaile nobleit kyéhedous le raidouir.
それは(qaissé < qais)政府派を落ちぶれさせた。
エレーナ
-sé をつけるかどうかって、何を基準に判断しているのかしら?
シャリヤ
エレーナ
シャリヤ
理由は挙げられるけど、はっきりとしたことは言えないわ。例えば、先の例文の1つ目はまた後でやるけど、過去完了時制の迂言文なの。だから、-séをつけて「本来の主語はこっちだぞ!」って示しているの。2つ目は、単純に "Qaissé E kyéhais le raidouir" という熟語だから使われているわね。
エレーナ
時と場合によって使い分けるってわけね。なんだか、習得のハードルがまた上がった気がするわ。
シャリヤ
名詞の主格形の基本は、辞書形だから取り敢えずはそれを覚えておけばいいと思うわ。-sé が付く主格は大体古いか慣用句か、文法的に何らかの理由がある場合が多いから。
エレーナ
文法全体を知っておかないと、分からないパターンね。取り敢えずはこの話はここで終わりにしておくわ。
前置格
シャリヤ
エレーナ
シャリヤ
現代標準語 には無いけど、
デュイン方言 にはあるわよ。
古典リパライン語 にも一部の方言では、あったとされているわ。ヴェフィス語では主に前置詞のあとに来る名詞や一部の動詞の格支配に使われるわ。
Laissegartés fol Vaifisets fai an.
ヴェフィス語について(Vaifisets < Vaifise [JerⅠ])私は学ぶ。
Lysameis noits an saile?
これから、あなたは(noits < nai [naiⅡB-utDé])温まりますか?
エレーナ
方言や古典語だと前置詞ごとに支配する格が違うから、暗記する必要があるけど、ヴェフィス語はそうじゃないのかしら?
シャリヤ
前置格以外を取る前置詞は大量にあるわね……詳しくは前置詞を説明するときに解説するけど、前置格はあくまでも前置詞が支配する格の一つという位置づけよ。
エレーナ
ううん……なんというか、ヴェフィス語の不規則性がまた活躍している場所を見てしまったわね……
ヴェフィス語の名詞って……?
シャリヤ
ヴェフィス語の名詞について語形変化と格の用法で二回やってきたけれども、どうだったかしら?
エレーナ
まあ、前回は
フェリーサ の拙いノートでしか内容を知らないんだけど、まあ語形変化の不規則性が激しいってこと以外は割と楽なんじゃないかと思ってきたわ。
シャリヤ
こんなヤバい講座の展開で、そう思えたなら嬉しいわ!
エレーナ
シャリヤ
ともかく、語形変化が難しいのは別として、格はほとんどリパライン語に相当するものがあるし、その雰囲気で使えばオッケーよ。主格と前置格は、少し難しい点があるかもしれないけど、それもじきに慣れると思うわ!
エレーナ
「習うより慣れろ」とはよく言うけど、文法に至っては言ったら終わりなセリフな気がするわよ。
シャリヤ
うっ……リパライン語と比べたらヴェフィス語は教育されてきた経緯が無いから、教材や教育法の蓄積が無いのよ。だから、学ぶときはどうしても学習者の努力を要することになるのよ……私が先生としてふさわしくないとか、そういう話ではない……はず!
エレーナ
ま、翠はどれだけ辛くても地獄の果てまで追いついて、言語学習をしそうな気はするから、そういう意味では最適なボーイ・ミーツ・ガールだったのかもしれないわね。
シャリヤ
ぐむむ……私だって分かりやすく説明しようとしているのよ。ヴェフィス語の文法が悪いのよ……というか、翠は何処まで行っちゃったのよ……
エレーナ
練習問題
1."vai"「過去」という名詞の指格形はどのような形でしょうか?
答え
"vai" のクラスは[NaiⅡ]なので、指格形は "voi" となります。
ちなみに、文末に指格形を置くと過去時制の文を作ることが出来ます。
2.「あなたの言葉を」という一節を訳してみましょう。
語群:"nai"「あなた」[NaiⅡB-utDé], "faivan"「言葉」[FaL]
答え
まず、「あなたの」という部分を考えます。
名詞を修飾する格は属格なので "nai" を属格形の "naut" に変化させましょう。
次に「言葉を」という部分を見てみましょう。
行動の対象を表す格は対格なので "faivan" を "faivai" に変化させます。
ヴェフィス語の修飾語順は後置なので、属格の名詞も後ろから前に修飾します。
このため、単語の順番は "faivai naut" となり、これが正解となります。
3.challais 「~のような」という前置詞は、前置格を取ります。それでは「あなたのような」という一節はどのようになるでしょうか?
答え
「あなた」は "nai" で、この名詞は[NaiⅡB-utDé]という変化をするので、前置格形は "noits" になります。
このため、「あなたのような」は "challais noits" と書くことができます。
まとめ
・ヴェフィス語には指格、属格、奪格、向格、対格、主格、前置格がある。
・指格は、リパライン語の "fal" に近い意味を持ち、場所や道具を表す。
・属格は、リパライン語とは異なり必ず被修飾語の後ろに来る。形容詞、副詞も同じように後置修飾である。
・奪格は、リパライン語の "ler" と近い意味を持ち、移動の起点などを表す。
・向格は、リパライン語の "-'l" と近い意味を持ち、移動の方向などを表す。
・対格は、リパライン語の "-'i" と近い意味を持ち、行動の対象などを表す。
・主格は、リパライン語の "-'s" と近い意味を持ち、行動の主体などを表す。他の格変化と異なり、辞書形そのままか、辞書形に -sé という語尾を付けて作る。語尾が付くかどうかは時と場合による。
・前置格は、現代標準リパライン語に相当するものは無い。前置詞のあとに来る名詞の支配格であったり、一部の動詞の格支配で用いられる。
・前置詞は、前置格以外の格を取る場合もある。
・翠くんはアドリア海で鮫と戦っている(現況報告)。
Lの後のéやsはカッコ内のそれだけを全てつけるという意味を表す。例えば "FaLé" という単語コードは "FaCéDé" と同じ意味である。 ↩
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