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スライムさん
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人工言語コンペ 2024夏(第8回) まとめ

coi rodo mi'e .slaimsan.
皆さんこんにちは、毎度おなじみスライムさんです。
仕事がもはやなんだかよく分からない状態だったりで、逆に余裕が出てきました。
はい、と言うわけで、趣味の人工言語をやっていきましょうという雰囲気になりつつあります。丁度、人工言語コンペの時期なのでやっていきましょう。(この3か月周期というのは、丁度良いですね。存在を忘れてしまわないくらいの頻度で、かつ主催者の私の負担にならない間隔です。こんな感じで毎回講評が書けますし。)

1. お題

自然言語には発話の構成要素が初めから終わりに向かって一次元的に配列されているという線条性と呼ばれる性質があります。
ここで、線条性に抗い、二次元的な言語を作ってみてください。(もっと多次元的な言語を作れるというのなら、それも可能です)

バリバリ理系なテーマで、なかなか難しいお題でした。多くの方は「線条性ってなんだ?」というところから始まったのではないでしょうか。

2. 提出作品一覧

3. 講評

3-1. Y語

まぁ、自分の作品なので講評しても仕方ないのですが……もう少し言語的なところに踏み込んでも良かったかなと思いました。結局、文法レベルの部分しか話をしていなくて、語彙やら例文やらに踏み込めてなかったなと。反省。(いや、本当に忙しかったのよ、と言い訳。)

3-2. Falīta語

要素をツリー状に並べていくことで線条性に抗う言語です。Y語と同様、ツリー状というのは線条性を破る一つの方法でしょう。

文の基本構造はVSO型で三又の枝が頂点に来る構造になっています。動詞の他に名詞の要素が2つ出てくるのがデフォルトということです。いわゆる他動詞文が基本ということです。ロジバンでいうなら、PSが2つあるterbriが基本形ということができるでしょう。このように動詞のPS数が固定されている場合に問題になるのが、「通常、PSが1つしかないと思われる動詞はどうするか?」です。簡単に言うなら、自動詞の類はどうするか、です。典型的には移動関連の動詞が主語しか現れないので、問題になります。対処法は、私が知る限り2つパターンがあるのですが、Falīta語の場合は項を追加するという方法でした。もう一つは空の要素を認めて形式的な要素を置く方法です。

3-3. ジュウロク語

今回の優勝作品です。4×4のスロットの中に要素を入れていくことで文章を構成するというものです。線条性の1次元性に着目して、それなら2次元に配置しようというのは、線条性に抗う一番基本的な対処方法と言えるでしょう。

中央4スロットに述語と述語に関する付帯情報を配置し、その周りに格に対応する名詞を配置していくという構成になっています。述語の情報はアスペクト、証拠性、法と基本的なところを押え、格については最大12格が配置できるようになっているまさにマキシマリズム的な配置になっています。

あえて付け加えるとすれば、ふぃるきしゃさんもあとがきで書いているように、関係節でしょうか。これについては私のY語に出てきた「分配子」の構造が利用できるように思えます。2つの文において要素が共通していることを表すのに利用できるように思えます。

4. その他に考えられる非線条的な構造

前回のコンペ参加作品のトレア・カ語がある面で線条性に抗っていると言えそうです。トレア・カ語は、5人による同時発声を基本としています。この同時発声の2つ目の次元と考えると、これは2次元に配列された言語と考えることができます。

同じく前回コンペ作品の物質語も線条的でないと考えることもできます。化学物質によって意思伝達する言語なのですが、そもそも化学物質が3次元的な構造をしており、この点を持って線条的でないということもできるでしょう。

5. おわりに

というわけで次回の人工言語コンペは11/1(金)にお題発表予定です。ご興味ある方はDiscordサーバーまでお越し下さい。作品の投稿、投票が行えます。

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