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Fafs F. Sashimi
Fafs F. Sashimi

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ヴェフィス語の動詞をやろう!(1)

[ファイユ]
ファイユ
今日の先生は、私レシェール・フミーヤ・ファイユよ!
[翠]
お、はじめましての人だ! 確か、いせにほ第八部で登場するファルトクノア共和国の人だったよな!
[ファイユ]
ファイユ
ええ、本編には登場してないけど、結構色んな戦場で現場指揮官として活躍したわよ。
[翠]
えーっと、記事によると……ウォルツァスカが好き……? なんか、軍人なのに可愛いなあ~♪
[ファイユ]
ファイユ
はあ?? 最新型の非常用レーションであるS型個人糧食でさえ、甘いものが入ってるんだから関係ないでしょ。私は一人前の将官なんだから……!
[翠]
今度奢ろうか?
[ファイユ]
ファイユ
残念だけど、もう先客が居るのよね。というか、ナンパなんてしてて良いわけ? カノジョさんがヤバくなってるわよ?
[翠]
え?

[シャリヤ]
シャリヤ
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[フェリーサ]
フェリーサ
ダメだ! memeを始める前にシャリ姉がバグっちゃったよ!!
[インリニア]
インリニア
散々周りの人間をディスりまくったんだ。自業自得だな┐(´~`)┌

※ このシリーズ、いせにほを読んでない人にしてみると「シャリヤちゃんってこんなにヤバいキャラなの?」って感じる気がしますが、本編のシャリヤちゃんは、ちょっと嫉妬が強い普通の女の子なので、是非本編を読んでほしいですねえ。最新回までとは言わないので、是非第四部までは……第四部までは読んで欲しい……ッ!

基本の3クラス

[翠]
えーっとノートによると……方言とかの話をするときにファイユさんが出てくるって書いてたけど、つまり方言が関わるのか?
[ファイユ]
ファイユ
まあね、でもその前に今回はヴェフィス語の標準的な動詞の変化体系から知ってもらうわ。
クラス名 特徴
Fais(フェ)クラス 語尾が -ai(子音)
Pa(パ)クラス 語尾が -ai(子音) 以外
Ailie(エリエ)クラス 語尾が -ailie
(語幹は-ailieを抜いて作る)
[翠]
これだけ見ると簡単だが、やっぱり例外はあるんだろ?
[ファイユ]
ファイユ
まあね、不規則と例外だらけの言語だから……

enmeuchais  感じ取る  [PaⅡCsD-aidés3]

alfia  売る、明らかにする  [FaisⅡA-eC-eséE-ede1]

cyfaisias  時間が過ぎる  [FaisLs]

effaile  良くする  [FaisⅡDs2]

[ファイユ]
ファイユ
200個で済んだら良いわね……あ、そういえばAilieクラスに限っては語幹生成に関わることもあって不規則は無いわよ。
[翠]
なるほどな。 ailie で終わっている動詞だったら、必ずAilieクラスになるってわけだな。

Ailieクラスの由来

[翠]
そういえば、Ailieクラスだけ語幹の作り方が違うのはなんでだ?
[シャリヤ]
シャリヤ
そこについてはわ̸̡̺̭̤͙̮̬̬̭̻͙̰̎̍̄͌͒̔̋̈́͐̔̕͝た̶̼̞̜̙̬̱̦̯͍̱͔̲̤̞̄̓̔̋͛̔̈́̎̉̚͝͝し̴̡͉̲͕̱͉̭̺̊̀̀͊̋̈́́̃́̀̒̕͜͠が紹介するわ!
[翠]
うわ、なんかちょっとバグってる。
[シャリヤ]
シャリヤ
ヴェフィス語のAilieクラスは、元々「動詞語幹+*liə」というものに由来するわ。
[翠]
*liə? なんだそれ?
[シャリヤ]
シャリヤ
リパラオネ祖語で「存在動詞(2)」1と呼ばれているものね。元々、リパラオネ語族の言語は、ヴェフィス語のFais, Paクラスのように動詞の語幹から人称変化や時相変化の語尾がついて変化していたんだけど、時代を経るにつれて *liə という動詞が変化を肩代わりするようになったの。
[ファイユ]
ファイユ
リパライン語では、それがアスペクトの助動詞になったわね。
[翠]
えっと…… liaxi, liaxu, liaxa ……本当だ。確かに相助動詞は全部 "lia" から始まっているな。
[シャリヤ]
シャリヤ
現世リパライン語文法で言う時相の縮約助動詞というのは実は *edi, *wi という動詞だったものが変化を肩代わりして、そのまま助動詞になっちゃったものだから、本当は「縮約」と捉えるのは間違いなのよね……
[翠]
なるほど、だんだん分かってきたぞ。 *liə はリパライン語では助動詞になったけど、ヴェフィス語ではそのまま無変化の動詞にくっついてしまった。それがAilieクラスと言われているもので、語幹の作り方が違う理由でもあるんだな。
[ファイユ]
ファイユ
ちなみに「リパライン」や「リパラオネ」の「リパ」という部分は *liə-pʰa(-k) に由来するわ。これは「西に居る」という意味で、こういう形でも「存在動詞(2)」は今でも残っているのよね。

動詞変化

[ファイユ]
ファイユ
ヴェフィス語の動詞は、それに加えられた要素に従って変化するわ。
クラス名 Faisクラス Paクラス Ailieクラス
A:現在一人称 -ai(s) 辞書形そのまま(s) -ailie(s)
B:現在二人称 -ei(s)
-eu(s)
-ais -eilie(s)
-eulie(s)
C:現在三人称 -aisé -aisé
-e(s)
-aisélie
D:完了 -ede(s)
-edou(s)
-aide(s)
-aidé(n)
-edélie(s)
E:行動存在 -aide
-aiou
-ais
-edos
-eou
-eous
-aidélie
-aiylie
-alie
F:起動 -(a)meis -(a)meis -(a)meis
G:不定人称 -(a)mais -(a)mais -(a)mais
N:伝統命令 -(a)ché! -(a)ché! -(a)ché!
[翠]
ううむ、名詞の変化と似てるようで似てないな……なんか3つ変化がある奴もあるし……
[ファイユ]
ファイユ
それぞれのクラスにはⅠ、Ⅱがあって、これは二種類ある変化のうち、どちらを使うかを示すわ。
[翠]
FaisクラスならB(現在二人称), D(完了)、PaクラスならC(現在三人称), D(完了)、AilieクラスならB(現在二人称)のことだな。
[シャリヤ]
シャリヤ
動詞の単語コードに含まれる 1, 2, 3 は、E(行動存在)の三つの変化のうち、どれを使うかを示すわね。
[翠]
名詞と同じで、コードでA, B, Cと書いてある場合はそこの不規則変化を示すのか?
[シャリヤ]
シャリヤ
そうね、例えば achais [FaisⅡBsDs1] だったら以下のような変化になるわね。
achais [FaisⅡBsDs1]
A:現在一人称 achai
B:現在二人称 acheus
C:現在三人称 achaisé
D:完了 achedous
E:行動存在 achaide
F:起動 achameis
G:不定人称 achamais
N:伝統命令 achaché!
[翠]
ちゃんと、B(現在二人称)とD(完了)の変化語尾に不規則のsが付いているな。

完全不規則 "es"

[ファイユ]
ファイユ
完全に上の変化体系に沿わない動詞もあるわ。幾つかあるけど、まずは "es" を取り扱ってみるわね。
[翠]
お、原型はリパライン語の "es" と同じだな。
[シャリヤ]
シャリヤ
流石に察しが良いわね。この動詞はヴェフィス語でもコピュラとして使われているわ。変化体系は以下の通りね。
es [完全不規則]
A:現在一人称 sans
B:現在二人称 sail
C:現在三人称 est
D:完了 ésta
E:行動存在 sel
F:起動 chouais
[シャリヤ]
シャリヤ
一応、祖語の相当する変化を示しておくわね。
*es
A:現在一人称 *es-ǽŋs
B:現在二人称 *es-ǽjls
C:現在三人称 *es-ə́sd
D:完了 *és-ta(<és-ʧa)2
E:行動存在 *es-ə́ʤu
F:起動 *es-ʃʷájs
[シャリヤ]
シャリヤ
ヴェフィス語的には語幹をここから作ると、変化語尾自体が動詞変化になるのよね。でも、"es"の変化形であることを表すために s が変化語尾の前に残った形が完全不規則 "es" の正体ね。
[翠]
三人称形は est らしいけど、こっちは語幹の *s が落ちてるよな。どうしてだ?
[ファイユ]
ファイユ
変化語尾の母音が *ə なのが理由ね。ヴェフィス語では、変化語尾の *ə は語幹の末子音が *s(三人称変化)/ʤ(行動存在変化)で終わる場合、脱落したわ。"*es-ə́sd"の場合、この規則に沿って "*éssd" となり、言いづらいので "est" に落ち着いたって感じね。
[翠]
なるほどな。あ、そういえば、完了だけ語幹の *e が残ってるのは何故なんだ?
[シャリヤ]
シャリヤ
これだけ変化語尾の方にアクセントが無いからよ。語幹の母音が強く発音されて、残ったわけね。ただ、後に類推で e が落ちたみたいで黙字である é になってるし、音節末にあった s は末子音の脱落規則によってヴェフィス語では発音されないわ。だから、結局のところ "ésta" の発音は /ta/ で、変化語尾だけが残っているのよね……
[翠]
ふむふむ。怒涛の質問ラッシュになってしまうけど、なんで起動形には s すら残っていないんだ?
[ファイユ]
ファイユ
/sʃ/って言いにくいでしょ?
[翠]
でも、リパライン語には "sxe" とかあるぞ?
[ファイユ]
ファイユ
ヴェフィス人にとっては発音しづらかったんでしょ。知らんけど。

 分離動詞

[ファイユ]
ファイユ
an-から始まる動詞は分離動詞といって、目的語を取る時にその目的語の名詞句の後ろに an が取れて置かれるような動きをするわ。

anpaifaia [PaⅡ(B-es)3Cs1]【分離動詞】 話す、喋る

Fa paifaia Vaifisaile an.

私はヴェフィス語を話します。

[翠]
お、確かに原型から an が取れて、目的語である "Vaifisaile"(<Vaifise)の後ろに来ているな。
[シャリヤ]
シャリヤ
それじゃあ "andaiva"[PaⅠAs1]「理解する」という動詞を使って、「私は理解する」って文を作ってみて?
[翠]
えっと、「私」は確か "fa" で、Paクラスの一人称変化は辞書形(s)で "andaiva" はAsだから…… "Fa daivas an." かな?
[ファイユ]
ファイユ
惜しいわね。分離動詞は目的語を取らない場合は、anが分離しないの。だから、今回の場合は "Fa andaivas" が正解ね。
[翠]
なるほど……目的語があるか、ないかで形が変わるんだな……

歴史と繋がり

[ファイユ]
ファイユ
今回は祖語とかの話を織り交ぜて解説してみたけど、どうだった?
[翠]
リパライン語との繋がりがちゃんとあるんだって分かった気がするよ。言語の歴史を感じるな。
[シャリヤ]
シャリヤ
これからも事あるごとにリパライン語などとの繋がりは解説していこうと思うわ。
[翠]
おっ、それは楽しみだ!
[シャリヤ]
シャリヤ
次回は動詞の実用編をやるわ! お楽しみに!

練習問題

1."fais"の単語コードはなんでしょう。

答え
 "fais" の単語コードは [FaisⅠDs3] です。

2."pafais" の行動存在形はなんでしょう。

答え
 "pafais" の単語コードは [FaisⅡDⅠL3]4 です。
 行動存在形は一つのクラスに三つの形があり、それはコードのアラビア数字によって表されています。Faisクラスの3番目の形は -alie なので、答えは pafalie になります。

3."faices"の単語グラスはFaisクラスです。これは不規則ですが、規則的にはどのクラスに当てはまるでしょう?

答え
 Faisクラスの語尾特徴は -ai(子音) で終わることであり、またAilieクラスの語尾特徴は -ailie で終わっていることです。それ以外は全て規則的にはPaクラスの動詞となるため "faices" は、規則的にはPaクラスだということができます。

まとめ

・動詞のクラスはFaisクラス、Paクラス、Ailieクラスの三つに分けられる。
・それぞれの動詞は語尾の特徴によってクラスに分類されるが、こちらにも例外がある。
・Ailieクラスは語幹の作り方が異なり、-ailieを取り除いて変化語尾を付ける。
・それぞれのクラスにはⅠ、Ⅱがあり、FaisクラスならB(現在二人称), D(完了)、PaクラスならC(現在三人称), D(完了)、AilieクラスならB(現在二人称)の二つある変化のうちから一つを決定する。
・単語コードにあるアラビア数字は行動存在形の三つあるうちのどれかを示す。
・分離動詞は目的語を取るときに語頭のanが遊離して、目的語の後ろに来る。しかし、目的語がない場合は遊離しない。
・リパライン語とヴェフィス語は同じ語族であり、リパラオネ語族とラネーメ語族とリナエスト語族は同じシアン大語族に属する。


  1. 「存在動詞(2)」は動詞の変化を肩代わりして、機能的になったため現代では存在動詞としてそのまま出てくることは無い。「存在動詞(1)」は *bʰojlə というもので、これはリパライン語では "mol" になり、ヴェフィス語では "faile" という現代にまで残る存在動詞の元になった。 

  2. ラネーメ祖語 *-tla()の影響を受けて、ヴェフィス語派では -ta に変化したと考えられている。元々リパラオネ祖語のこの変化語尾と *-tla はシアン大祖語において同根であるためお互いに混同されやすかった。 

  3. (B-es)とは、Bがその語尾になることもあるという意味である。つまり "anpaifaia" の現在二人称は "anpaifaiais", "anpaifaies" のどちらでもありえるということである。は?(過去の自分に対する怒り) 

  4. DⅠはDだけそのクラスのⅠの変化をするという意味で、この場合はD-edeと同じ意味である。しかし、Lがついているので、この動詞の完了形は pafedes になる。 

Top comments (2)

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A.I.

回を逐うたびにシャリヤさんの表現力(震え声)が増していてすごいデスネ……。

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Fafs F. Sashimi

そりゃあもちろん、賢い可愛いメインヒロインですから()
ちなみにグリッチテキストの後ろには実はちゃんとしたリパライン語が隠されていたりしますよ……さて、どこのでしょうね……