Inspired by The reality is sprouting of stringy bok choy.
この文章はフィクションです。
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リパライン語には不規則性や複雑性などが含まれている。この一定の不規則性や複雑性は、様々なところで見られる。
例として挙げられるのは、綴り字の不規則性である。
詳しいことは「リパライン語と言語行政と文化」の5.2.3.2.3.2. 語源主義と表音主義の由来に書いてあるが、慣例的な表記はただ単に不規則性を示すものである。古典リパライン語に基づく綴りは、言語翻訳庁式の正書法と二重での綴り字になってしまっている。以下に例を示す。
| 言語翻訳庁式の正書法 | 古典リパライン語由来の綴り | IPA |
|---|---|---|
| x | sh | [ʂ]~[ʃ] |
| z | ts | [t͡s] |
| j | y(母音前) | [j] |
また、文法の中にも不規則性・複雑性は見られる。
リパライン語では単語と接辞が繋がる際に母音末尾と母音先頭、子音末尾と子音先頭という繋がり方をするときには緩衝子音・緩衝母音が挿入される。
この緩衝音は、接辞が付く対象の単語の末尾の母音に影響される。自然言語の例でいえば、緩衝子音にタミル語は /y/ と /w/ が主に使われる。リパライン語の場合だと、これが四種類に分けられる。
| 基準となる母音 | 緩衝子音 | 緩衝母音 |
|---|---|---|
| a, o | v | a |
| i, e | rg | e |
| u | m | u |
| y | l | i |
これ以外にも、調音接辞 -eu/eu- というどの母音が末尾にあっても使える緩衝音もあるが、それでも上記の緩衝音は積極的に利用されている。
例えば lineparine に -en という語尾が付くなら lineparinergen という風に緩衝音が挿入される。
啓蒙理性と単純化
ユエスレオネ革命後に言語翻訳庁は、リパライン語の標準化に向けて様々な単純化を行った。そこで排除された複雑性や不規則性には綴り字や文字順の整理などが含まれる。しかしながら、上記で示したように排除されなかったものも残っている。
このようなものが残されたのは何故だろうか。
啓蒙理性というものが、こういった言語の単純化に適用できるのであれば、それは不透明なものや把握できないものを忌避し、すべてを計算可能で管理可能なものに変換しようとする力の取り組みの中にこのような整理が含まれるということになる。
しかしながら、このような複雑性や不規則性は単なる欠陥ではない。それらは歴史、身体、他者との関係が沈着した痕跡であり、意味のゆらぎによってリパライン語がリパライン語たるための他者性の証左なのである。このようなものを排除することは、同時に他者性が我々の予期しない形でリパライン語たる性格を明らかにする機会を切り捨てることでもある。
リパライン語が複雑性や不規則性を内包するのは、効率に抗うことが目的なのではない。それは、言語が他者的なものを通して、言語自身を表明するための経路を確保するための構造なのである。
まとめ
リパライン語に内包されている複雑性や不規則性は、言語翻訳庁によって一定程度整理されたが、その後にも残っているものが存在している。
このような存在が残されているのは、歴史的経緯もあるが言語が他者的なものを通して、言語自身を表明するためでもある。
すべてを計算可能で管理可能なものに変換しようとする啓蒙理性は、そのような他者的なものを切り捨て、排除する力として働くが、リパライン語における複雑性や不規則性はそのような力を通り抜けて、言語自身を表明する。
例に上げた緩衝音がそのような他者的なものを表す一面として、ニシャントヴェールと呼ばれる現象が存在する。
これは、緩衝音の有無で区別される単語に関して、誤って緩衝音を挿入してしまうことであり、このような現象は言葉を覚えたての子供や外国人の言葉で発生しやすいものである。
複雑性や不規則性は、このような多面性を見出すための鍵として働いているのである。
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