※本記事内の翻訳は最新のものではありません。また、執筆当時としても「これはちょっとおかしいのでは」と言いたくなるレベルのミスが少々あったりします。ご了承ください。
1.この記事の企画の趣旨について
何かデナスティア語に翻訳していて楽しいものはないかと思って翻訳した文章(あるいは歌詞)を載せていく連載です(ものすごく不定期です)。
また、migdal上の記事を翻訳した場合は本連載には含まれません(KIITA宣言とか)。
当初は翻訳と文法解説を別々に分けて投稿しようかな、とも思ったのですが、翻訳するものの内容によっては別途「引用」にしないと明確な著作権侵害になりうることもあるとのことでしたので、長くなりそうですが一つの記事にまとめることにしました。
ほら、作者の死後70年も待てないけど翻訳したいとかありません? 私はあります(でなければこんな企画立ち上げない)。
2.今回の翻訳お題「可愛くてごめん」
今回のお題
「可愛くてごめん」
作詞:shito 作曲:shito 編曲:HoneyWorks
→私がよく聞いてる素敵な動画はこちら
→ネットで調べた限り本家はこちらだそうですそして当然のごとく素敵
はい。個人的に気に入ったので「翻訳してみようかな」と思ったのですが。語彙が足りない歌に合わせるには拍数制限もあるというわけでそこそこ難しかったです(さざんかのライフポイントはもう0よ!)。
3.翻訳歌詞
曲名
Dais mitoi, co fetzo.(だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
歌詞
Gen ja lufais jao-la cuili,(げーん や るふぁいーす やおら くいり)
Jitzi dat astoi? Jo sabok feu jao?(いっつぃ だたすとい よ さぼく ふゅー やお)
“Dak gantoi”, “Dak musisolsikoi” (だく がんとい だく むしそーしこい)
Sun riokeo na maguht feu jao.(すん りおけお な まぐと ふゅ やお)
Soi-lufastia kmeija mesais,(そいるーふぁすてぃーあ くめいや めさいす)
Soi-lufastia festcjeh tas,(そいるーふぁすてぃーあ ふぇすちぇー たす)
Tzihs la feu fentia menofeneo,(つぃーす ら ふゅー ふぇんてぃあ めのふぇーねーおー)
Muoso tahtecje(むおそ たーてしゅ)
Jais jaotajul, dais efitoi,(やーいす やおたゆる だーいす えふぃとい)
Sik, ja das cadatoi!(すぃく や だす かーだーとーいー)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo.(ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Ja rihnes tzovontoi, co fetzo.(や てぃいねーす つぉヴぉんとい こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais kusnantoi, co fetzo.(ちゅ だぃす くすなんとーい こ ふぇつぉ)
Cjikfak jao si na? Co fetzo.(しくふぁーく やお すぃ な こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo.(ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Ja okilsais, co fetzo.(や おきさーいす こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais koitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす こいとい こ ふぇつぉ)
Lenet fekvaneo kateo, co fetzo.(れねと ふぇくヴぁーねお かーてお こ ふぇつぉ)
Jo dak pokastoi si na? Kvatzo sa!(よ だく ぽーかすとい すぃ な くヴぁつぉ さ)
Jo teketzo tuneh fo jot ruhto.(よ てけつぉ とぅね ふぉー よぉーてゅーと)
Tas co na toitoletzo feu jao.(たす こ な といーとれつぉ ふゅー やお)
Cjeih jout “amecjeh ruit cole amecja”.(しぇい ゆーためしぇー てゅいと こらめしゃー)
Sun dorotia jafeo na maguht feu jao.(すん どてょてぃあ やふぇお な まぐと ふゅ やお)
Gavetia rukepa mesais,(がヴぇてぃあ てゅけーぱ めさいす)
Oktia poketaut tas,(おくてぃあ ぽけとーたす)
Tois kahkucji na bapentoi cjo bola,(といす かーくし な ばぺんとい しょー ぼーらー)
Muhso tahtecje(むーそ たーてしゅ)
Tafletia leij? Na meleutzo(たふれてぃあ れい な めりうつぉ)
Dak koi toitolastoi!(だく こい といとーらすとーい)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Atifais nit cun sehka, co fetzo.(あてぃふぁいす にと くん せか こ ふぇつぉ)
Tcju! Manotolais, co fetzo.(ちゅ まのとらいす こ ふぇつぉ)
Cjikfak jao si na? Co fetzo.(しくふぁっく やお すぃ な こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Kemais jao-la, co fetzo.(けまいーす やーおら こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais jecjpotoi, co fetzo.(ちゅ だぃす ぇしゅぽとーい こ ふぇつぉ)
Nasais juo kagomentoi, co fetzo.(なさいす ゆお かごめんとーい こ ふぇつぉ)
Jo dak pokastoi si na? Kvatzo sa.(よ だく ぽーかすとい すぃ な くヴぁつぉ さ)
Lufit sihtzoi,(るふぃと すぃつぉいー)
Musisolsikoi, tuneh cjeih jout teo al jao.(むすぃそーすぃこい とぅね しぇい ゆーてお あお(ある) やお)
Na fuos tadue. Tas na ostcjois(な ふおす たどぅー たす な おすちょいーす)
Tuneh tzuo kucjeteo.(とぅね つぉ くーしぇーてーお)
Ja fuos da daunuirpeh teu jao-la.(や ふおす だ どーにーるぺ てぃう やおら)
Ja fuos jao-la tutzoi efetes.(や ふおす やおら とぅーつぉい えふぇてーす)
Na fuos nase la cjiukastoi koi.(な ふおす なす ら しうかすとい こい)
Jois, sa dat ja seh.(よいーす さー だーっと やー せー)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Ja rihnes tzovontoi, co fetzo.(や てぃいねーす つぉヴぉんとい こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais kusnantoi, co fetzo.(ちゅ だぃす くすなんとーい こ ふぇつぉ)
Klemois atife, co fetzo.(くれもーいさーてぃふ こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Ja okilsais, co fetzo.(や おきさーいす こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais koitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす こいとい こ ふぇつぉ)
Lenet fekvaneo kateo, co fetzo.(れねと ふぇくヴぁーねお かーてお こ ふぇつぉ)
Jo dak pokastoi si na? Kvatzo sa!(よ だく ぽーかすとい すぃ な くヴぁつぉ さ)
4.文法その他解説
4-1.はじめに
まず、最も大切なことですが。この翻訳は歌うことを前提に書かれているので原文の意味やニュアンスをところどころ落としたり余計な一言が挟まっていたりします(意味翻訳というよりも歌いたい人(そんな人おるんか?)向けの翻訳なので)。
というわけで、原文と明らかに異なってしまった部分についてはいちいちさざんかの長い与太話が挟まったりしますがそこは、まあ、はい(多分歌詞翻訳のたびにこの注釈はさざんかが忘れていない限りにおいて登場します)。
4-2.文法解説
ではいよいよ、ここからは文法解説の時間です。いぇい。
いちいち必要のない注釈が入ったりしますが、特に拍を合わせるために原曲にある単語を省略したりない単語を追加したりした場合は口うるさく寄り道すると思いますのでご了承ください。
また、直訳を放り込んでありますので「は?」となること間違いなし再翻訳というのがどういうことなのか(歌詞に合わせなくていいという非対称性がうんぬんかんぬん)。
そういうわけで、早速曲名から解説始めていきましょう。
Dais mitoi, co fetzo.(だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
私が可愛い場合、許してね
はい、これが「可愛くてごめん」をデナスティア語に訳したもの&それを再翻訳したものですね。曲名であり、かつ歌詞中にも何度も登場するこの曲の一番重要なところ。
daisはコピュラdaの条件法一人称単数現在時制です。具体的にはdが語幹でaiが条件法。現在時制と単数はゼロで表されてsが一人称なのでこの形になっています。
mitoiは「mitia:かわいい」の準体法(形容詞の名詞的用法)の単数形です。可愛いのは私なのでこうなります。(動詞、形容詞ともに数が単数で一致を起こしていることに対する詳細な解説は以前の記事をご覧ください)。
で、動詞の条件法を使う理由ですが、「~において…である」とした時に~の部分は条件法を使うのが基本となっているからです。後半のco以降が…に該当します。
次にそのco fetzoの部分ですが。coは以前からあった、命令時制の語気緩和の……感動詞だったかな(zpdicを確認しに行って合っていて安心する人)?
なお、デナスティア語では命令形は命令時制という時制の一種として扱われているのですが……これには深い訳がありまして。まあ今回は紹介しないのですが。
fetzoは……韻を踏めるように造語しました(禁忌レベルのアポステリオリやめなさい)。と言っても直接造語ではなくfeseの略形として本来「fesetzo:許す、免じる(直接法二人称単数命令時制)」となるところを「fetzo」という語形にしたという設定です。
“Co fesetzo”が「ごめんなさい」なら“Co fetzo”が「ごめん」です。以下、この文が繰り返し出て来ますが解説は省略していきます。
というわけでようやくですが歌詞の文法解説に入っていきますね。
Gen ja lufais jao-la cuili,(げーん や るふぁいーす やおら くいり)
私が私自身を愛しているにおいてしかし
「gen:今」という意味で、時間を表す副詞ですが、最初の単語から早速ここではあまり意味がないパターンです(拍数の関係で)。
jaが私、jao-laは私の再帰代名詞ですね(jaoについては後ほど)。
「cuili:ここから」は、場所を示す副詞として使用されるのが普通ですが、ここではそれまでの文の内容を受けて次の文に繋げる接続詞みたいな役割をしています。
そしてlufaisですが……さっき見たdaisと形が似ていますね? 条件法一人称単数現在時制です。ちなみに辞書形は「lufe:愛する」です。
ちなみに、条件法は現在単数形や過去形だと「ai、oi、ih(イー)」といった母音で表される(そしてその後過去のnや人称語尾の子音がつきます)ので覚えておくと便利です。
ところでなぜ条件法かといえば、後に文が続いているからです(続きが大文字で始まっているのは歌詞表記の慣習みたいなものです)。
それから。もとの歌詞を知っている方ならわかると思うのですが、この文は無駄が多いです。……だって日本語で一人称が「わたし」で3音節あるのですから拍数を合わせるには無駄な単語が必要になるのですよ「わたしたちから」とか一人称複数奪格相当表現7音節とか長す(脱線したので強制的に話を切り上げますなう)。
Jitzi dat astoi? Jo sabok feu jao?(いっつぃ だたすとい よ さぼく ふゅー やお)
何が悪いこと? あなたは私に嫉妬している?
「jitzi:何」でdatは冒頭のコピュラの直接法三人称単数現在です。「astoi悪い」の準体法単数形です。シンプルですね(棒)。
次、「jo:あなた」、「sabok:嫉妬する(直接法二人称単数)」、「feu:与格前置詞」、「jao:一人称単数対格代名詞」です。前置詞が直後の代名詞を直接修飾する場合、代名詞は対格を取ります(指示代名詞単数形は主格と対格が同形ですが)。
ちなみに、元の歌詞だと近くにいるけれど、直接話しているわけではない……という感じになるので二人称か三人称か悩みましたが。
二人称遠称なんて都合がよさげな表現はないので普通の二人称にしました。
“Dak gantoi”, “Dak musisolsikoi” (だく がんとい だく むしそーしこい)
「(あなたは)変わっている者だ」、「(あなたは)非常識な者だ」
dakはコピュラの直接法二人称単数現在時制です。あとは何も言わなくて大丈夫ですね。「痛い」という言葉を翻訳するのがちょっと難しかったですが。
Sun riokeo na maguht feu jao.(すん りおけお な まぐと ふゅ やお)
その返したちは私に届きません
sunは指示冠詞「その」、riokeoは返事とかの意味の複数形、naが否定。「maguht:到達する(直接法三人称複数現在時制)」です。なお私はriokeoに納得していないのでまたいずれ変わったパターンの歌詞が出るかもしれません。はい。
そしてこのrですが、後ろに母音がない場合は日本語のラ行でよいのですが、母音があると「テャ(デャ)行」ぽく発音されます。日本語にはない音を使わないといけないのでちょっと面倒くさい。
ちなみに、このmaguhtは辞書の形では「magoe」です。デナスティア語の動詞を引く時は語末のo(命令時制)や子音(人称)を消して、過去形ぽい(ne、no)時にさらにそれを消して条件法(上で母音一覧は出した)を消してようやく見えてきたりします。なんなら語頭子音以外全然違う形になることもあるので活用表をしっかり覚え(割愛)
Soi-lufastia kmeija mesais,(そいるーふぁすてぃーあ くめいや めさいす)
大-好きな服たちを着て
初登場のハイフン。soiは「大きい」という意味で、この形態素を含む単語はそこそこあったりします。「大好き」という単語がないので無理やり作りました。
lufastiaは曲の冒頭にも出てきた「lufe:愛する」の能動分詞形容詞用法です。名詞を前置修飾しているのでこの形になっていますが、現代デナスティア語としてはけっこう珍しいというか古風な使い方です(この辺は完全な脱線になるので別記事で紹介できたらと)。
「kmeija:服(単数→kmeij)」はまあ、名詞の変化なのでおいておいて。問題は「mesais:着る(条件法一人称単数現在時制)」です。これ、拍数合わせで原曲にはない単語です。
で、この単語を拍数合わせに使ったのは単純で、曲中では「外出するために準備しよう」といった感じのテンションだったからです。はい。
そういった理由で選ばれましたので原曲を歌う時はご注意を(そもそも誰がデナスティア語版を先に覚えるのか)(デナスティア人が歌えるようにするため? 知らんけど)。
Soi-lufastia festcjeh tas,(そいるーふぁすてぃーあ ふぇすちぇー たす)
大-好きなお化粧そして
「festcjeh:お化粧」の意味。tasは色々な用法がありますがここでは接続詞みたいなものですね。日本語の「足す」からとったバリバリのアポステリオリ。
Tzihs la feu fentia menofeneo,(つぃーす ら ふゅー ふぇんてぃあ めのふぇーねーおー)
自分をいつものハーフツインテールに髪を整えて
tzihsはまたまた出てきた条件法一人称単数現在時制です。誰かの髪を何とかの形に整えるみたいな動詞です。「tzuie A feu B」または「tzuie B al A」で「Aの髪をBに整える」になります。
laは冒頭にも出て来ましたが再帰代名詞です。laだけでも再帰代名詞になれます。
「fentia:いつもの」まあ原曲が「お決まりの」になっていたのでこれは若干訳があれな感じもありますが……語数が足りない。menofeneoはハーフツインテールです。「me:半分」、「no:2」、「feni:尻尾(複数形:feneo)」。何のひねりもない合成語です(その性質上常に複数形となるでしょうがそれぐらいで)。
Muoso tahtecje(むおそ たーてしゅ)
外へ行こう
「muoso:行く(直接法一人称単数命令時制)」です。デナスティア語において一人称単数の命令時制は話者本人の意志を示します。
「tahtecje:外の方へ」なのでまあ元の歌詞とほぼ一緒です。はい。
Jais jaotajul, dais efitoi,(やーいす やおたゆる だーいす えふぃとい)
日傘を持ち、一人ぼっちであれ(ど)
はい。ここは音節数の問題でこうなりましたパートです。
「jais:持つ(条件法一人称単数現在時制)」、「jaotajul:日傘」、「efitia:一人ぼっちの(efitoi:準体法単数)」ですが。
まず「jais」は不規則活用する動詞で、辞書形は「jaoe」です。この原形が不規則な上似た活用の動詞があるせいでより不規則になっているのは余談なのでここまでにします。
で、本来であれば「~だけれど」と逆接を入れたいところですが。拍数が足りません。……というわけで、次のフレーズに放り込むことにしました。
Sik, ja das cadatoi!(すぃく や だす かーだーとーいー)
しかし私は幸せです!
はい、何も言うことはありませんね。代名詞コピュラ一人称単数に形容詞の準体法単数という今までの解説から何となく想像のつくシンプルな構文!
しかも全部既存単語なのにかなり韻を踏んでいるという……よき。
Tcju! Dais mitoi, co fetzo.(ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
ちゅ! 私が可愛い場合許してね
冒頭でやったので解説は省略します。「ちゅ」は日本語のちゅではないのですがまあ通じるので大丈夫ですたぶん。
Ja rihnes tzovontoi, co fetzo.(や てぃいねーす つぉヴぉんとい こ ふぇつぉ)
私が生まれてきた場合許してね
「rihnes:来る(条件法一人称単数過去時制)」、「tzovontoi:産む(受動分詞準体法単数)」です。
来るの方は辞書形が「ruie:来る(辞書形)」なので、語頭子音以外合っていない最高に面倒極まりないパターン(しかも規則活用)です。
tzovontoiは生まれる、というか産まれる。でも語形一緒だし大丈夫でしょ、うん。
そして条件法にしていますが、私が生まれているのは自明なのでものすごくあれに聞こえますがそこはこの曲全体に言えそうなことなのでいちいち触れないでおきましょう。
Tcju! Dais kusnantoi, co fetzo.(ちゅ だぃす くすなんとーい こ ふぇつぉ)
ちゅ! 私があざとい場合許してね
もう「あざとい」という単語を造語しましたちなみに語源は「妹(といいつつデナスティア語に姉妹を年齢の上下で言い分ける習慣がないので語源の直訳は「小さい姉妹」)」。
でもあんまり気に入っていない。かまととぶる的な何かがほしいけれど私の造語力が足りなかったというだけです。
Cjikfak jao si na? Co fetzo.(しくふぁーく やお すぃ な こ ふぇつぉ)
あなたが私を気にしている? 許してね
はい。再翻訳するとなんかすごいものが出て来ました。
「cjikfae:気にする、心がける、心配する」など、何かに心をとらわれている感じの意味を表す言葉です。
また、「si na」は英語に直訳するなら「or not」なので簡単にいえば付加疑問文です。そして、ここは条件法になっていません。文が切れていて独立した意味になっていますし、多読で「~ならば」という条件を表すような歌詞でもなかったからです。元歌詞はまあ、ご自分で検索してくださいすぐ出てくる。
Tcju! Dais mitoi, co fetzo.(ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
ちゅ!(以下略)
同じ文が既出なので解説は省略です。以下同じ文の解説は省略しますね……。
Ja okilsais, co fetzo.(や おきさーいす こ ふぇつぉ)
私が努力しているなら、許してね
これ、本来は逆接の接続詞が入るべきなのでしょうが……そのために主語を落とすことも可能なのですが……まあ、ここまで来れば文脈上逆接放り込まなくてもわかるかなとあえて抜きました。はい。
ちなみに「okilse:努力する」ですが、これも語源がアポステリオリで「起きる」だったりします。今日も布団を出たあなた、えらい!
Tcju! Dais koitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす こいとい こ ふぇつぉ)
ちゅ! 私が尊い場合、許してね
「koitia:尊い」ですが。「koi:過度に」という副詞に形容詞語尾をつけて形容詞にしているのでどちらかというと「ヤバい」の方が近いかもしれませんというかデナスティア語のスラングに対する解像度が低い……(お~い作者)。
Lenet fekvaneo kateo, co fetzo.(れねと ふぇくヴぁーねお かーてお こ ふぇつぉ)
少女の高いスキルたち、許してね
もうこれは拍数が足りなくて動詞が入らなかったパターンです。そして女子力なんて単語はデナスティア語にはなさそう(令嬢として求められる教養を表す単語ならあるかもですが)(またそのうち造語します、はい)なので迂言的な言い方になりました。
「lene:少女、娘」は語末に-tがついて属格になっています。その後の「fekvani:スキル」の複数形と「katia:高い」の準体法複数が続いています。後置修飾なので準体法です。
Jo dak pokastoi si na? Kvatzo sa!(よ だく ぽーかすとい すぃ な くヴぁつぉ さ)
あなたは怒っている? それみろ!
「poka:怒る」ですが、たぶん「ムカつく」というのは怒るの若者言葉なのではと思って統合しました。スラングとかほぼほぼ作っていないのでこうなりますね……ちょっとお行儀がいい。「si na」は上述の通りです。
「Kvatzo sa」は直訳すると「それを見ろ」なのですが。「ざまあ」を「ざまあみろ」の省略と捉えた上で「それみろ」と意味が大して変わらないのでは、と思った(このざまを見ろ→これ見ろ≒それ見ろ、みたいな解釈)のでそのまま流用しました。ガサツすぎる……。
Jo teketzo tuneh fo jot ruhto.(よ てけつぉ とぅね ふぉー よぉーてゅーと)
あなたはあなたの道たちの上だけを歩きなさい
ここから二番ですね。「teke:歩く」の直接法二人称単数命令時制です。「tuneh:~だけ」、「fo:~の上に(を)」、「ruht:道(ruhto:複数形)」。joは二人称単数代名詞の主格で語末に-tをつけて属格です。
Tas co na toitoletzo feu jao.(たす こ な といーとれつぉ ふゅー やお)
そして私に関わらないでください
新しい単語は「toitole:関わる」だけですね。そして上と同じ二人称の命令時制。わかりやすい。
Cjeih jout “amecjeh ruit cole amecja”.(しぇい ゆーためしぇー てゅいと こらめしゃー)
彼らが「友達は友達たちを呼んで来る」と言う場合
「類は友を呼ぶ」ということわざをどう翻訳するかが迷いポイントでしたがこうなりました。「cjeih:彼ら(主格)」、「jout:言う(条件法三人称複数現在時制)(jaue:辞書形)」、「amecjeh:友達(amecja:複数形)」、「cole:呼ぶ」です。
長くなってきたので言ったか言っていないか忘れてしまいましたが(こら)、-tは名詞の属格だけでなく、動詞の三人称(単複問わず)にも使われます。
Sun dorotia jafeo na maguht feu jao.(すん どてょてぃあ やふぇお な まぐと ふゅ やお)
その陰口は私に届きません
「sun:その」という指示冠詞から始まり、「dorotia jafeo:陰口(複数形)」です。「遠い発言(たち)」という構造になっています。
そしてそれ以降は一番にも出てきましたね。もちろん省略です。
Gavetia rukepa mesais,(がヴぇてぃあ てゅけーぱ めさいす)
重い靴を着て(履いて)
「gavetia:重い」で「rukepa:ある種の靴」です。
はい、ある種の靴です。というのも、最初歌詞を聞いて「ブーツ」を造語したのですが(そして辞書に載せました)。上の方のMVを見返して「これ履いてるのブーツではないのでは」となりまして……。別単語を造語しました。
ちなみに私の中でブーツは「足首よりも上、すねのあたりまで覆うもの」みたいな感じのイメージです。
そして拍数合わせのための「mese:着る」がまたまた出て来ましたね。服にも靴にも使える優秀な単語です(なお語源は「召す」)(「お召し物」で何となく伝わるはず)(伝われ)。
Oktia poketaut tas,(おくてぃあ ぽけとーたす)
とっておきのリュックそして
「oktia:とっておきの」みたいなニュアンスですがお気に入りで使ってもいいでしょ。うん。
「poketaut:リュック」は「pokievetaut:リュックサック」の省略した形です。原曲でも登場していたのは「リュック」ですし。
なお語源は「pokieve:背中」と「taut:鞄」で、それぞれの語源は(背pok+yue→pokieve)と「トートバッグ」の「トート」部分を取り出すといった感じです。はい。
tasの解説は一番にあるので省略です。
Tois kahkucji na bapentoi cjo bola,(といす かーくし な ばぺんとい しょー ぼーらー)
くしで崩れない前髪を梳く場合
「tois:梳く(条件法一人称単数現在時制、辞書形taue)」、「kahkucji:前髪」、「bapae:崩れる」、「cjo:~を使って」、「bola:くし」。日本語と語順が完全に逆ですね。
文法解説をしますと「bapae:崩れる」は原曲が他動詞の可能動詞なのにデナスティア語では自動詞(可能の意味も落ちている)になっています。これは「拍数が足りない」といういつものお決まりパターンなので許してください。Co fetzo.
本動詞が条件法なのは続きがあるから……なのですがたぶん歌詞とMV的にその続きはぶった切られているパターンですねおそらく。
Muhso tahtecje(むーそ たーてしゅ)
私たちは外に行きましょう
「muhso:行く(直接法一人称複数命令時制)」ですが。一人称複数の命令時制は勧誘を意味します。つまり「レッツゴー」的な感じですねこの文。
そしてMVを見ていただいたらわかるのですが、この発言をしているのが第三者の男性(私はアニメを見ていないのでもしかしたら主人公ぽい女子(動画のコメ欄いわくちゅーたんという名前だそうです)の知り合いかもしれませんが)なので。まあ、以下二番のサビまではその相手をしている展開で、という前提で訳しています。
Tafletia leij? Na meleutzo(たふれてぃあ れい な めりうつぉ)
奔放な女? ふざけるな
原曲だと「奔放な」という形容詞ではなく「軽い」という形容詞が使われているのですが。その吹き出しがナンパ師ぽい人から出ていたのでこういう訳にしてみました。
「tafletia:奔放な」の語源は「tafleh:蝶」で蝶が花々の間を行ったり来たりする様子からまあ……R15なので詳しい説明はやめますが。
とはいえさすがに語源はR指定なくて。日本語の「てふてふ」ですね。はい。
そして「leij:女」はもしかしたら「lene:少女」の方がいいのではと思いましたが、デナスティア王国なら15歳で半人前、18歳で一人前と見なされるのでまあ高校生~ならleijでいいかなとなってそのままになりました。
「mele:遊ぶ、ふざける」はまあふざけるですね。そして語気緩和のcoが入っていないし主語も省略しているのでこれはかなり強い口調ですね。
Dak koi toitolastoi!(だく こい といとーらすとーい)
あなたは関わりすぎです!
「koi:過度に」という副詞と、既出の「toitole:関わる」の能動分詞準体法単数なので「あなたは関わりすぎな存在である」という訳です。
もとの日本語歌詞と大きくズレている気がしますが、英語字幕で「あなたはもうたくさん!」みたいな感じの英訳が出ていた(なお辞書を引いていないので勘)ので、そこから翻訳しました。二重翻訳なので上の日本語「あなたは関わりすぎです!」は三重翻訳ですね。
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
(略)
Atifais nit cun sehka, co fetzo.(あてぃふぁいす にと くん せか こ ふぇつぉ)
この時代に生きている場合、許してね
「atife:生きる」の条件法に指示冠詞「cun:この」、そして「sehka:時代」という三つの単語が初出のはず。
一番と同じくすでに私はこの時代を生きているので確信犯(時々誤用と言われているの方の)ですねこれは。
また「sehka」は一音節目が長母音になっていますが、歌でそんな細かいことは関係なくなったりします。二重母音「ai」を一拍で歌ったり二拍で歌ったりするので世の中そんなものです。
Tcju! Manotolais, co fetzo.(ちゅ まのとらいす こ ふぇつぉ)
ちゅ! 目を引いている場合、許してね
「manotole:目立つ」は「目たちを取る」みたいな直訳の造語(怖い)ですがまあ耳目を集める的な感じです。そしてもちろん条件法一人称単数現在時制。
Cjikfak jao si na? Co fetzo.(しくふぁっく やお すぃ な こ ふぇつぉ)
あなたが私を気にしている? 許してね
一番と同じ歌詞になっています。原曲では一番と二番で歌詞が違うのですが、作者がガサツなだけあり細かい違いは捨象されています。
まあ「ざまあみろ」と「それみろ」を同じにする人ですからね。
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
(略)
Kemais jao-la, co fetzo.(けまいーす やーおら こ ふぇつぉ)
自分自身を磨いていたら、許してね
「kemais:磨く(条件法一人称単数現在時制)」、辞書形「kemae」です。
自分自身を磨いているからこそ(あるいは磨こうという意志が強い)できるであろう発言ですね……。
Tcju! Dais jecjpotoi, co fetzo.(ちゅ だぃす ぇしゅぽとーい こ ふぇつぉ)
ちゅ! 私が子供っぽい場合、許してね
はい。「jecjpotia:子供じみた」が出ました。もしかしたら「kusnantia:あざとい」よりもかまととぶるはこっちの方にした方がよさげ説もある……?
原曲の歌詞でもぶりっ子って出てるし……うん。
Nasais juo kagomentoi, co fetzo.(なさいす ゆお かごめんとーい こ ふぇつぉ)
あなたを魅了されたものに作った場合、許してね
これは「nase:作る(上のは条件法一人称単数現在時制)」による使役用法ですね。「juo:二人称単数代名詞対格」を「kagoment:魅了された(上のは受動分詞準体法単数)」にするみたいなニュアンスです。
で、あなたを魅了しているという自信がある(以下略)
Jo dak pokastoi si na? Kvatzo sa.(よ だく ぽーかすとい すぃ な くヴぁつぉ さ)
はい。「よね」と「でしょ」の違いが一緒くたにされるポンコツ言語です。でも作者が作者だから作者の味ということで許してCo fetzo(同じネタを繰り返すな)。
Lufit sihtzoi,(るふぃと すぃつぉいー)
好みの違う者
「lufi:愛すること→好み、趣味」の単数属格と「sihtzia:違う、異なる」の準体法単数です。
好み・趣味が違うことについてのみ言及する場合は「sihtzi(違い)」か「sihtzeo(違うこと複数:だって違いはひとつだけではないし)」のがいいのですが、拍数と韻の関係で「違う者」という違いそのものではないところに(回りくどい言い方)ついて言及しています。
Musisolsikoi, tuneh cjeih jout teo al jao.(むすぃそーすぃこい とぅね しぇい ゆーてお あお(ある) やお)
非常識な者、彼らが私に関してそれらを言う場合ですら
前の文とつながって、一つの文になると解釈した上での文です。musisolsikoiは最初の方にも登場しているから解説省略します。
「cjeih:三人称複数代名詞主格」は人間とか動物にしか使えません。モノやコトに対しては「teih」を使います。そしてその対格が上の文にちょうど出ている「teo」です。これらは指示代名詞の複数形で、指示代名詞は単数形同様に属格を持ちません。指示冠詞で事足りるので。
本当は「ののしる」的な動詞が欲しかったのですが、造語し忘れてこのまま通してしまったのでこのままでいきます。完全版ではないのはつまりこういうところもそうです。
Na fuos tadue. Tas na ostcjois(な ふおす たどぅー たす な おすちょいーす)
諦めたくない。そして私は恐れていない
前半は「fuoe:~したい」の直接法一人称単数現在時制、「tadue:諦める」の辞書形(原形不定詞ともいう)です。
「fuoe 辞書形」で「~したい」となります。簡単ですね。今回は文頭に否定の「na」があるので「したくない」ですが。
そして後半の「ostcjois:恐れる(条件法一人称単数現在時制)」ですが。これは他の文を伴わないタイプの条件法です。このタイプの条件法は「~している」のように訳されることが多いです。ある種の現在進行形と言いますか。本題ではないので今回は軽く飛ばしますが。
Tuneh tzuo kucjeteo.(とぅね つぉ くーしぇーてーお)
あなたたち小さい者たちすら
これは前置詞の選択をミスしたかもしれません(というかした)。
「tzuo:二人称複数代名詞対格」、「kucjeteo:小さい(準体法複数)」です。デナスティア語の形容詞は代名詞も修飾できるのですよ。
Ja fuos da daunuirpeh teu jao-la.(や ふおす だ どーにーるぺ てぃう やおら)
私は私自身の味方でありたい
はい。原曲を知っている方からすればなんか語順が入れ替わっている気がすると思いますが(実際入れ替わっている)、これはデナスティア語の構造上こうするしかたぶんないからこうなった感じですね。仕方がない。
「da」はコピュラ以外に存在動詞としても使われます。be動詞みたいですねさすがアポステリオリ言語(棒)。
「daunuirpeh:味方」は個人に対して使うものですね。「teu:~の」は前置詞でofみたいなものです。音的にはフランス語の「de」と中国語の「的」が近いですが。
Ja fuos jao-la tutzoi efetes.(や ふおす やおら とぅーつぉい えふぇてーす)
私は私自身を一番に大切なものとしたい
「tutzoi:大切な(準体法単数)」、本当なら「扱う」みたいな動詞を入れたかったのですが拍数の関係で断念。
「efetes:一番目に」は序数詞から無理やり作った形容詞の副詞形です(だから辞書にはefetしかない)。
というか形容詞の修飾用法と属格って(脱線しそうなので矯正切り上げ)
Na fuos nase la cjiukastoi koi.(な ふおす なす ら しうかすとい こい)
過度に我慢する自分を作りたくない
「nase:作る」は英語のmake同様に使役(無理やり感ある)の意味で使えます。アポステリオリさまさま。
「cjiukastoi:我慢する(能動分詞準体法単数)」は再帰代名詞のlaを修飾する形になっています。
Jois, sa dat ja seh.(よいーす さー だーっと やー せー)
言えば、それが私です
「jois」、つまり「jaue:言う」の条件法は色々な場面で文頭などに現れて接続詞的にはたらく場合があるのですが、それだけで記事が一本書けそうなレベルなので解説は割愛します。あと今回はあまり意味がなくて、拍数合わせです。
「sa:それ」、「seh:です(丁寧な強調)」ですが、まあ問題ないはずです。
そして全部既存単語なのにわりと韻を踏んでくれているの嬉しいですね。まあアポステリ(以下略)
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Ja rihnes tzovontoi, co fetzo.(や てぃいねーす つぉヴぉんとい こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais kusnantoi, co fetzo.(ちゅ だぃす くすなんとーい こ ふぇつぉ)
ここまで全部今までに出てきた文なので解説は省略です。
Klemois atife, co fetzo. (くれもーいさーてぃふ こ ふぇつぉ)
私が人生を楽しんでいる場合、許してね
はい。最後の解説です。「klemoe:楽しむ」の条件法一人称単数現在時制が使われていますね。以上です。
Tcju! Dais mitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす みーとい こ ふぇつぉ)
Ja okilsais, co fetzo.(や おきさーいす こ ふぇつぉ)
Tcju! Dais koitoi, co fetzo. (ちゅ だぃす こいとい こ ふぇつぉ)
Lenet fekvaneo kateo, co fetzo.(れねと ふぇくヴぁーねお かーてお こ ふぇつぉ)
Jo dak pokastoi si na? Kvatzo sa!(よ だく ぽーかすとい すぃ な くヴぁつぉ さ)
このあたりも一緒ですし🍣(初絵文字。文字化けしませんように)(謎のお祈り)。
5.おわりに
はい。やたら長い記事が完成してしまいました。まあ、翻訳と解説を一記事にまとめたので仕方がありませんね。はい。
文法がわからないけど知りたい、あるいはより正確な発音が知りたいという方は私がmigdalに上げている過去記事を参考にしてみてください。
バッテリーが少なくなってきたので「誤字脱字? 知りません」の深夜テンション並みの勢いで上げることにします。
たぶんmigdalで一番長い記事になったかもしれない。知らんけど。それでは今回はこのくらいでおしまいです。
→デナスティア語の発音が知りたい
→デナスティア語の名詞が知りたい
→デナスティア語の動詞が知りたい
→デナスティア語の形容詞が知りたい(文字数が揃わなかったから無駄に伸ばす)
Top comments (4)
うん、もうちょっと文法を学んでから読みます
そもそも簡単な文法説明の次に初学者向けを飛ばして中級者以上向けの記事を投稿する私があれだったりするんですけれどね……はい。
気づいたんですけど…
この記事、サイト史上最長ですね!
当初は翻訳と解説で分けるつもりだったのですが、ちょさくけんとか諸々の関係でひとつの記事にまとまることになった感じですね…。