ふと思った疑問のメモなど。
疑問
その疑問とはズバリ「形容詞と副詞って違うか?」ということです。何となく違うのはわかるんですが、文法上どのように違うのか、ということを言語ごとに見ていきたいと思います。
総合的に
おそらく2つはほとんどの言語で修飾対象で区別されています。
- 形容詞:名詞
- 副詞:動詞、形容詞、(形容動詞、)副詞、文全体
ただこの2つはかぶりがない 1 ので「違うか?」という疑問に至ったわけです。
あと「コピュラの補語にできるか」も大事そうですがこちらに関してはまだ考察できていません。コメントで誰か教えて下さい。
日本語とか
学校文法では形容詞と副詞はどちらも修飾語になる自立語 2 です。違いは活用の有無でしょうか。
- 形容詞は活用する(「赤くない〇〇」といえる)
- 副詞は活用しない(「速くなく〇〇する」と副詞としてはいえない 3 )
膠着語か屈折語かの違いはありますがロシア語などもこの分類だと思います。
このような言語においては形容詞・副詞の区別はわかりやすくて許せます。
英語とか
屈折的特徴が弱まった現代の英語やドイツ語は、形容詞も副詞も副詞で否定する(それぞれ not , nicht?)ようにどちらも曲用を持ちません。私が主張したいのはこのような言語において形容詞と副詞の区別は自明ではない、ということです。
シャレイア語に関しても少し学んだ限りでは形容詞と副詞の、修飾対象以外違いが感じられませんでした。
フィルシェア語
なにか不都合がない限り現在作成しているフィルシェア語では形容詞も副詞も同じ「修飾詞」という品詞で表すことにします。こういう体系をいじれるのも自作言語の醍醐味。
読んでいただきありがとうございます。まだまだ言語学に関しては素人なので、なにかあったらコメントお願いします。
人気順のコメント(14)
長文失礼します。
日本語の「形容詞・副詞」と英語の "adjective, adverb" の違いが、話をややこしくしていますね。
日本語においては、形容詞は体言も用言も修飾できますし、述語にもなれます。例えば、「速い馬」の「速い」は形容詞の連用形、「速く走る」の「速く」は形容詞の連用形、「馬は速い」の「速い」は形容詞の終止形です。それに対して、体言しか修飾できないのは連体詞(例:大きな、新たな)、用言しか修飾できないのは副詞(例:とても、ほとんど)です。
一方で、英語の形容詞は名詞の修飾と補語にしか使えません。また、副詞は動詞や形容詞の修飾に使うのが一般的です。
このように、日本語の「形容詞・副詞」と英語の "adjective, adverb" は、そもそも別の概念として扱うのが無難だと私は思います。
蛇足ですが、私の人工言語では、修飾語を「形容詞・連体詞・連用詞」に分ける予定(あくまで「予定」)です。
追記:投稿してしまってから気づきましたが、別の概念として扱っているからこそこの記事を書かれたわけで、私が言うまでもありませんでしたよね……。申し訳ありません。
こんにちは、コメントありがとうございます!
本文内では日本語と英語で節を分けていますが、確かに「別の概念として理解する」というスタンスは納得できてとてもスッキリしました。
そういえばリンタは活用がありましたね、その修飾語の分類はわかりやすくて良いと思います👍
言うまでもないなんてとんでもないです、改めてありがとうございました。こちらこそ(??)長文失礼しました。
たびたび失礼します。
本文中でThoviliaさんは「形容詞と副詞の修飾対象は相補的である」という旨をおっしゃっていますが、私は英語における例外を見つけました。
"I love only my son." (私は息子だけを愛している) における副詞 "only" (~だけ) と、"I love my only son." (私は一人息子を愛している) における形容詞 "only" (唯一の) は、いずれも名詞(あるいは名詞句)を修飾しています。
一度「前者の "only" は "love" を修飾するのではないか?」とも考えましたが、その場合 "I only love my son." (私は息子を愛しているだけだ) という別の意味が生まれてしまいます。ですから、やはり名詞を修飾しているとみて間違いないと思います。
あれ、確かに言われてみれば前者のonlyは副詞にも関わらず名詞を修飾しているように見えますね。
苦し紛れではありますが、「副詞が修飾するのは述語1である」という解釈はできないでしょうか。
Wikipediaの記事における1番の意味の。 ↩
1番の意味で考えると、節から主語を除いたものが述語ですから、"I love my son." の述語は "love my son" です。それを only に修飾させると、やはり "I only love my son." になりますね。
私の思い違いかもしれませんが、ThoviliaさんはWikipediaの「主語以外の名詞句は述語に含まれる」という文言を誤解しているように思います。この文はあくまで「主語以外の名詞句は述語の部品である」という意味であって、「主語以外の名詞句が『述語』というカテゴリに属する」という意味ではないでしょう。
なるほど、誤解していたようです。「述語の一部になりえる、品詞または句」を修飾しえる、という意図で言いました。
追記:あえて両者の違いを挙げるとすれば、前者は格を含めた名詞句 ("私の息子を") を修飾し、後者は格を含まない名詞 ("息子") を修飾していることでしょうか。
副詞がコピュラの補語になれるか……人工言語始めてからそこそこ経っているはずなのに考察したこともなかったですね。
ちなみに「かぶりがない場所に登場する(かつ本来は同じものと考えられる)」こと・ものを言語学用語では「相補分布」と呼ぶそうです。参考までに。
例えば「彼の食べる様子はゆっくりだ」の「ゆっくり」は形容詞ですし、*「〜ゆっくりにだ」は日本語ではないどころかエセ朝鮮語になってしまいますね。
相補分布、興味深い概念ですね。面白い情報ありがとうございます。
この手の話題大好き人間です…!
日本語だと副詞(やそれに相当する形容詞の連用形)がコピュラにつくのは例外的な状況しか思いつきませんね。「少しではなく、すごくだ」とか「少しではなく、とてもだ」みたいなものすごく文脈に依存するものとか(人によっては非文という人もいるでしょうが)。
こちらこそ面白い話題の記事、ありがとうございました。
「かわいいは正義」という言い方があるように名詞以外も語幹だけで体言として使ういいかたも最近はありますよね。「もっと速くは無理なの?」みたいな言い方はありそう
その「かわいい」は実は連体形なのではと私は考えています。つまり、「かわいいことは正義」の「こと」を省略して「かわいいは正義」ではないかと。古文にも「人の辛きは世の理にて……」みたいな表現技法があったはずですし(知らんけど)。
同じ要領で、「もっと速くは無理なの?」も「すること」の省略として説明がつきます。
要するに、「名詞以外を体言として用いている」のではなく、「名詞句内の要素を省略した結果、たまたま名詞句以外の形が残った」と考えたほうがシンプルだと思うのですが、いかがでしょうか。
ちなみに、この方法では「とてもじゃないが無理だ」や「少しではなく、とてもだ」のような文を説明できません。しかし、前者は成句として、後者は「AではなくBだ」という特殊な構文として片づければよいでしょう(露骨なごまかし)。
お、これはかなり良い説明だと思います!
あとは「赤いのはりんごだ」の助詞「の」の省略としても考えられますね。「少しなのではなく、とてもなのだ」という考え方もできるかも。
ちょっと登校へのタイムリミットが迫ってるのでここで失礼します。